裁判所を利用して、未払い賃金・残業代等を請求する方法の一つに「労働訴訟」があります。労働訴訟の手続きと、それを行うメリット・デメリットなどをみてみましょう。
【労働訴訟制度】
労働訴訟は、裁判所を通じて未払い賃金や、未払い残業代、不当解雇、などを請求する方法です。
訴訟制度を簡単に言うと、訴訟の当事者がある特定の問題に対してそのような事実があったかどうかを主張することを言います。その事実があったかどうか、お互いに主張が異なる場合はその事実を主張している当事者が証拠を提出してそのようなことがあった(またはなかった)ことを立証します。
裁判所がこれらを法律にあてはめ総合的に判断し、最終的に判決を下すことになります。この判決は強制力を持ち、相手側がこの判決に従わなかった場合は財産等を強制執行することができる効力をもっています。
【労働訴訟の手続き】
訴訟には下記のような3つのステップがあり、三審制と呼ばれています。
一般的には、まず地方裁判所で第一審が行われ、高等裁判所において控訴審がおこなわれ、最後に最高裁判所での上告審という流れになっています。また訴訟でも、和解期日というものがあり、判決ではなく話し合いで解決をしようという試みがされます。
【労働訴訟のメリット・デメリット】
訴訟のメリットとデメリットについて見ておきましょう。まずメリットとして下記のようなことがあります。
・訴訟を起こすことで裁判所によって強制力を持つ判断が下される
・三審制という制度があることで、当事者は訴訟手続きで3回争うチャンスがある
・会社側と話し合いの場を設けることができる
デメリットは下記のような点があります。
・主張や立証、話し合いが難航したりするため訴訟が長期化するリスクがある
・訴訟の性質上、判断の硬直性などがある
・訴訟が長引き訴訟費用が高額になり当事者に大きな金銭的負担がかかる
・訴訟期間が長くなることで当事者に精神的負担がかかる
・裁判所の判決が当事者にとって最適な解決法であるかわからない
・必ず訴訟に勝てるという保証がない
【まとめ】
労働問題は、いつどこで発生するかわかりません。その時になって慌てないためにも労働訴訟の手続きや、その性質、労働訴訟を起こすメリット・デメリットなどは知っておくとよいでしょう。
また、実際に労働訴訟を起こす前には、労働問題に詳しい専門家に相談しアドバイスを受けるようにしましょう。