雇用に関するニュースで、最も注目されるのが完全失業率ではないでしょうか?完全失業率とは、労働人口に占める完全失業者の割合を示すものです。日本が抱える労働問題と、失業率などについてみてみましょう。
【雇用と失業率】
日本の失業率は、2009年リーマンショックで5.1%ありましたが、それ以降下がり続けてアベノミクスが開始した2013年には4%になりました。失業率が下がり続ける背景には、企業の人手不足と非正社員の増加があります。
企業は常に人手不足で求人は多いのですが、増えているのは非正規社員の仕事ばかりということも原因の1つでしょう。
非正規雇用は、安定した雇用ではないため、消費も伸びず本格的な景気の回復には繋がりません。
一方で、60~64歳までの高齢者雇用については増加傾向にあります。これは、公的年金の受給下肢年齢が65歳であることにも関係しています。健康であれば、年金受給までは働きたいと願っている高齢者が多いことがわかります。
【若年労働者の雇用問題】
高止まりする若年労働者の雇用問題は、文部科学省の調査でも浮き彫りになっています。2012年の大卒者のうちおよそ15.5%が就職や進学をせず、アルバイトや契約社員として就業している人は、3.9%という結果があり、大卒者の5人に1人が正社員ではないことが分かります。
また、大卒で正社員として入社したものも3年以内に退職してしまう若者が全体の3割近くいることも分かっています。
これは、大学在学中に専門的なスキルを身に付けていないことや、実務能力が身についていないという原因も考えられます。
【社会保障の問題にも繋がる】
日本は、これからますます少子高齢化社会が進みます。このままいくと、深刻な労働者不足に直面することは明白でしょう。
今後も実務経験や、スキルを身に付けていない若者が増えると、組織で即戦力となる人材が不足し社会における消費者、納税者などの構造が根本から崩れていく恐れがあります。
労働不足から、十分な社会保障がされない社会になると、私達は安心して医療を受けることもできず、働けなくなった場合の傷病手当や、出産手当、65歳から支給される公的年金にも影響が出ることが懸念されます。
そのためにも若年層のスキルの向上、正規雇用の増加、女性の社会進出などが大きな課題となります。
社会保障の面から考えても、若者の育成、雇用の確保は私達が今後真剣に考えなくてはならない深刻な問題なのです。