経営者となったからには、多くの報酬を得たいものだ。とくに、会社員時代の給与よりも超えることができるか、というのは関心のあることではないだろうか。だが、経営者の報酬は娯楽や生活費の為だけに使用するものではない。今回は、経営者の報酬について見ていく。
■報酬を預かっているという意識
法人化すると役員報酬(経営者の報酬)として、毎月個人の銀行口座にお金が支払われる。個人事業主の場合であれば、売上-経費=「事業所得として自由に使えるお金」となり、決まった金額を別の個人口座に毎月移す人もいる。
だが、この報酬として受け取るお金は、会社員時代の給与とは意味が異なる。
個人事業主や中小企業であれば、報酬を貰わなくても生活できるお金を貯めておかなければいけない。そこから事業に貸付できるだけのお金(蓄え)があることが理想である。
個人事業主は事業主貸を発生させないようにして資金の流失を防ぎ、例え金融機関からお金を貸して貰えなくても、役員貸付金という形で資金を会社に注入することで、資金繰りの安定を図らねばいけない。
このように、経営者であれば会社からの報酬を残す余裕が必要である。そのまま報酬を受け取り娯楽や生活費に費やすのではいけない。会社から預かっているという意識を持つことが一流の経営者である。
■経営者の報酬をカットするという選択
資金繰りが苦しいのであれば、役員報酬をカットすることが必要だ。だが、役員報酬をカットしても経営者の手元にお金がなければ、いざというときに使用することができない。その為、通常の口座とは別に貯金口座を作りお金を蓄えておくことがいい。
最低6ヵ月を目安としたお金を蓄え、可能であれば1年は生活できるお金が欲しいところだ。生活水準が低ければいいのだが、経営者であればそうもいかない。苦しい思いをしない為にも可能な限りの蓄えを持っておくことをおすすめする。
■想定外に対応する為にお金を管理する
経営をするからには、大成功と大失敗はつきものだ。安全な道ばかりいく経営はつまらなくなるものだからである。一方で、予期せぬ事故や天災に巻き込まれてしまう恐れもある。
事業が急速に悪化した場合に銀行がすんなりとお金を貸してくれる保証はどこにもなく、事業の立て直しには時間がかかるものである。このような事態に対処する為にも、経営者は個人資産を蓄えておく必要がある。
経営者が一番の責任者というということを考えれば、他の者より多く報酬を貰っても問題はない。だが、その報酬は「リスクに備える為に預かっている」という意識が経営者にはなければいけない。
経営者は想定外に対応する「お金」を管理していかなければならないのである。