経営にプラスに働く「戦略人事」とは?

経営者のリスク

経営目標達成のため欠かせない要素の一つである人材。それを有効に活かすには、経営戦略に合った適材適所な人員配置が肝要です。しかし従来型の労務的人事では、経営と連動した人事は難しいのではないでしょうか。そういった点を改善しうる一つの手段・戦略人事について考えていきたいと思います。

一般的な人事の役割

人事部門が担う役割を考えてみると、主に、新入社員の採用、社員の評価、給与計算や勤怠管理または福利厚生などが挙げられるかと思われます。

社員および従業員が、不安なく仕事に励んでいくためにはどれも不可欠な業務です。しかし、その職務内容が経営方針と深い結びつきがあるのかと問われると、なかなかYESとは言い辛いところがあるのではないでしょうか。「人事はどこの会社でもだいたい同じような業務をしていて、経営に直接関係することはない。」そんな認識が一般的かと思われます。

人事の重要性

言うなれば地味と思われがちな人事部門ですが、よくよく考えてみると企業にとって極めて重要なセクションを担っていると言えます。企業を成立させているのは人材です。経営を左右するのはその組織に所属する人材の働きぶりや成果であると考えて差し支えないでしょう。

社員すなわち人材を管理する役割を担う人事部門が、経営的視点を持って人材マネジメントを行っていければ、企業にとってかなりのプラスとなるのではないでしょうか。
そのような観点が戦略人事に当たります。

戦略人事のメリット

簡単に言えば戦略人事は経営的視野を持った人事を意味しますが、それはどういったものなのでしょうか。具体的には、経営戦略と人材マネジメントが融合したあり方に相当します。

例えば、ある事業計画が持ち上がった時、戦略人事ではどのような人材がどの程度必要で、現時点で会社が抱えている人材では計画がどの程度達成できるか、素早い見通しが可能となり、経営判断における大きな助力となるでしょう。

また、社員の人材的特性を把握しどのような面をスキルアップさせれば、会社にどのような貢献が期待できるか、という経営方針に合わせた人材育成も可能となります。
加えて、人員管理の役割を活かし、社員および従業員全体に経営方針を周知させることで、組織力の底上げに繋げることもできます。

戦略人事が行える態勢とは

人事部も経営感覚を持つべし、と言葉に出すのは簡単ですが、具体的には難しいところです。最大の難点は、経営者および経営陣と人事部門が「方針・戦略・計画内容」など、経営に関するあらゆる側面で充分に意思を一致できているか、ということに尽きるでしょう。

経営者側の方針や戦略などが不明瞭、一貫していない、整合性がない、となれば、人事部側としては意思を共有しようがありません。

経営側がブレのないはっきりとした経営スタイルを示し、人事部側がそれを充分に理解し、同じ意思を持って経営展開に当たる、という環境が整ってこそ、戦略人事が機能すると言えるでしょう。

まとめ

以上、戦略人事とは経営的視野を持った人事のスタイルであり、これを導入することで経営のプラスに繋がること、実践するには明確な経営方針を確立して人事部門と共有することが第一、という点を見てまいりました。

戦略人事とは言わば、経営者が一人で背負いがちな経営に関する意思決定に人事部門を参加させるものでもあり、これによって経営者の負担は軽減され経営上のリスクも低下すると考えられます。