労災は、基本的に従業員に対しての労働における事故や病気、災害に対しての補償を適用する制度となっています。そのため、経営者・役員の場合は、労災の補償の適用外になっています。経営者に労災が加入できる条件やその他の対処方法を紹介しましょう。
■労災には対象となる条件がある
労災(労働災害補償保険)は、労働者を対象にしています。正社員はもちろんですが、パートやアルバイトに対しても、労災の対象となっています。経営者や役員は「使用者」として認識されており、労災の適用が受けられないのです。しかし、経営者や役員も、同じ人間なので、病気やケガ、事故や災害に遭う条件は、従業員と何ら違いはないのです。
労災の補償が受けられないので、全額が健康保険も認められずに自己負担となってしまいます。経営者や役員でも、加入できる保険があるならば、是非とも加入すべきでしょう。経営者には「特別加入制度」を利用できる可能性があります。
■「特別加入制度」の利用条件
「特別加入制度」とは、「中小事業主」の会社に対してある条件を満たす事で、地域にある管轄の都道府県にある労働基準監督署長の承認を得て、保険に加入できる場合があります。
◎「特別加入制度」の条件
・50人以下の業種の経営者
「金融業」「保険業」「不動産業」「小売業」などが対象です。
・100人以下の業種の経営者
「卸売業」「サービス業」などが対象です。
・300人以下の業種の経営者
「その他」の事業が対象です。
※厚生労働省の労働基準監督署長を通じて申請を行います。
◎保険料以外のコスト
保険料は業種別に異なってきます。業種の仕事の内容によって危険度が違うので、保険料も危険度と比例した設定料金になっています。その上に、「労働保険組合に支払う入会金」や「年会費」の支払いがあるのです。
■その他の保険の加入
経営者や役員が、「特別加入制度」の条件に当てはまらない場合や、コスト面で必要性を感じない場合には、民間保険会社の「傷害保険」に加入する事も一つの方法です。民間の保険には、責任ある立場に対してリスクが高くなるので、経営者の責任は「訴訟問題」にも対応する事ができるのです。経営者や会社役員は、業務上のリスクに対して備える為にも、「賠償金」の損害賠償請求にも対応した保険に加入すべきでしょう。
◎保険会社の経営者リスクに対応した商品
民間の保険会社には労災だけではなく、メンタルチェックや財務相談など、経営に関するサービスや経営者の為の保険として各種用意されています。「特別加入制度」や「経営者の為の保険」に加入する事は、経営者自身ばかりでなく、ひいては会社を守る事に繋がりますので、必ず加入する事をお勧めします。
■まとめ
経営者に労災の適用は、「特別加入制度」や「経営者の為の保険」に加入する事で、経営者としての自分の身の安全と、会社の経営におけるリスクの軽減に役立つ事になるのです。「特別加入制度」や「経営者の為の保険」に加入は、必要不可欠ではないでしょうか。