賃金や残業代などの労働問題の時効は何年?引き伸ばすことは可能?

経営者のリスク

労働基準法第115条では、退職手当を除く賃金等の請求については2年間の時効で消滅すると規定がされています。一部例外もありますが一般的には2年で時効を迎えるケースが多いため請求をする場合は早目に手続きを取る必要があります。

【時効がスタートする日】
時効は、「権利を行使することができる時から進行する」とされています。わかりやすく言うと、未払いの賃金や残業代を請求できる時からスタートして2年後に時効を迎えることになります。実際に請求できる日はいつからでしょうか?
時効がスタートする日を「起算日」といいます。例えば、毎月25日に給料日である会社の場合2015年2月25日に未払われる残業代、賃金代等の未払い請求は2017年の2月25日までに請求をしなければ時効を迎え消滅してしまいます。
このように、請求できるのは起算日から2年以内であることを覚えておき未払いが発生したら所定の手続きを早急に取るようにしましょう。

【停止・引き伸ばしもできる?】
2年間の時効消滅は労働者側から考えると不利な条件になっています。在職中は特に会社と揉めたくない、トラブルを起こしたくないと考えている人も多いため請求をしにくいというケースも少なくありません。
その為時効には停止というものがあり、以下の場合がそれに該当します。
・請求
・承認
・差し押さえ、仮差押え、仮処分
ここで気を付けたいのが時効の停止についての認識です。時効の停止とは、一時停止を意味するのではなくゼロに戻ることを言います。これらの手続きをして時効の停止がなされると、また最初から時効が開始されることになりますので間違えないようにしましょう。

【請求と承認】
上記3点について詳しくみてみましょう。通常の未払い残業代等の請求では「差し押さえ、仮差押え、仮処分」は民事執行、民事保全という手続きになるため労働問題とはあまり関係ないので請求と、承認について考えていきましょう。

(請求)
請求は裁判上の請求を意味しており、訴訟、労働審判、調停などの裁判手続きのことを言います。
自分で行う請求を催告と言い、催告には時効を6か月間成立させない効果があります。催告を行ったという証拠を後に残す為にも内容証明郵便で裁判所に送る方法が有効でしょう。

(承認)
また承認は会社が未払い賃金等を認めることで、「今すぐには支払えないが分割で支払う」または「いついつまで支払いを待ってくれ」と言ってきた場合は未払いがあったということを会社側が認めたことになり時効が中断します。
承認の際に注意したいのが、時効完成後の承認でも有効になるということです。
未払い賃金などがある場合は、2年の時効があっても泣き寝入りをせずに請求をすることが大切です。時効があっても請求できるケースもありますので、まずは専門家に相談してみましょう。