2008年に安全配慮義務について明確にする事で、企業や経営者におけるリスクは高くなっています。最近での労災の認定では、パワハラによる因果関係が立証されて企業は、多額の賠償責任を負う結果になっています。経営者は、安全配慮義務違反について把握していないと、社員の安全が守れず、経営者の責任が問われる事になります。
安全配慮義務が示す具体的な範囲について
労働契約法が示した「必要な配慮」について詳しく説明していきましょう。
1.健康診断を実施で社員を守る事
個々に体調の変化は異なります。体が丈夫な人もいれば、それほどでもない人もいて、病気になり易くなります。しかし、健康診断を行う事で健康管理や的確な指導が行えます。
2.勤務上の施設や備品の安全性について
業務で使用している車や設備、機械や備品に対して、破損や不良状態などで、社員の体に被害を及ぼす可能性を排除する為に、修理やメンテナンス等によって安全性を担保できるようになります。
3.過度な労働の対処
長時間の労働や残業や居残りに対して、オーバーワークの疲労蓄積によって、事故を引き起こしたり、健康被害を受けたりする可能性を改善しなければならないのです。
4.適切な人員配置への配慮
健康状態のすぐれない人や、体力の必要となる業務に、適切な配置や業務に対する社員への配慮がなされているかどうか確認しましょう。
5.人間関係の状態を良好にする
上下関係や社員同士の関係性について配慮をしなければなりません。特に女性との接し方については、セクハラやパワハラを問題視するケースが多くなっています。十分に気を配って良好な人間関係に努める事が求められます。
安全配慮義務に対する損害賠償のリスク
安全配慮義務を怠った場合による労働災害が発生する事で、因果関係が証明されると、損害賠償請求の要因となってしまいます。悪口やいじめに相当する態度によって、事故や病気の原因となり、最悪な結果を考えた場合の損害賠償請求によって、数千万円の支払いを命じられる裁判もあるので、精神的な健康被害についても十分な注意が必要になります。
このような結果を招かないようにする為には、社員の労働に対する被害を予測できたかどうかで判断されます。また、このような結果を招かないようにする為の回避策を講じたかどうかが判断基準になります。このような事態にならない為にも経営者が先頭になって十分な配慮をすべきでしょう。
労災保険の認定基準を守る事
認定の判断には、「過労死ライン」と言う基準が存在しており、健康被害にならないように時間外労働を制限する必要があります。また、病気による被害にも、原因となる脳卒中や心臓病の発症が、業務との関連性を追求される事になるので、時間外労働を極力減らす事に努める必要があるのです。
他にも労働環境に抵触する可能性について検討しなければならないのです。例えば、30度を超すような条件下での労働は、義務違反の対象となる可能性が高くなるので、17度以上で28度未満を義務付けているのです。台風などの災害時に出勤させた場合に事故や病気になった場合には、義務違反の対象となってしまいます。休みや早めの退社を促すように、できるかぎりの対応をしましょう。
労働者の年齢や体力による差を配慮しないで、研修などを無理に実行した場合には、ケガや事故の可能性を見過ごして、実際に起こった場合にも外出禁止などの規則にこだわった会社側の責任を追及された事例があるのです。
まとめ
経営者や会社は、社員の能力向上や利益を優先した場合のリスクも、常に関係する事を学ばなければ、労災によるケガや事故の原因を作ったとして、多額の賠償請求のリスクを負う事になります。今一度、働き方や社員との接し方について、経営者自ら学ぶ必要があるようです。リスク回避も経営者のなすべき事なのです。