経営者が資金管理についてよく理解していないまま適当などんぶり勘定を続けていると
「知らない間に会社の預金残高がなくなってしまった」ということになるかもしれません。
お金の管理は経営を黒字に持っていくためにも大事な要素となります。会社のお金の動きを把握するには、青色申告に必須の複式簿記について理解を深めることが一番の方法です。今回は、経営者が覚えておきたい複式簿記について解説します。
複式簿記の理解
簿記は大きく分けて「単式簿記」と「複式簿記」が存在し、正確なお金の「流れ」を知るには複式簿記の記帳が必要になります。記載方法の違いについて見ていきましょう。
単式簿記
単式簿記とは、取引の勘定科目を一つの目線から記録していく方法です。収入・支出の合計から現金の増減が算出するため、簡単に記帳することが可能です。しかし、銀行から借入をした時の残りのローン残高が分からないといった正確な情報が欠落してしまうデメリットがあります。白色申告には複式簿記より簡潔な単式簿記による記帳で問題ありません。
複式簿記
複式簿記とは「借方」と「貸方」という複数の勘定科目から記帳する方法で、単式簿記では確認できなかった現金・借金の増減が正確に把握できます。収益があった場合「借方」に資産増加の記入、貸方に「収益の増加」というように記入していきます。
複式簿記を利用した青白申告には節税面でのメリットも多く、特別控除をはじめ30万以下の固定資産が全額経費になる・赤字を3年間繰り越しできる等の恩恵を受けることができます。
貸借対照表と損益計算書
複式簿記には現金・商品・不動産といった財産「資産」、将来支払う出費「負債」、資産と負債の差額「純資産」、売上金・雑収入「収益」、収益を得るために使った支出「費用」の5つの勘定項目を使い記載していきます。
「資産」「負債」「純資産」を管理する書類「貸借対照表」、「収益」「費用」を管理する書類「損益計算書」を記すことで、正確な現金残高・売掛金・借入金の残高や利益を知ることができます。
特に貸借対照表は企業の支払い能力といった債権者に対する信用が記されるものであり、正しく作成することが会社の社会的信用を高めることにも繋がります。
まとめ
お金の「流れ」を理解しておくことは、会社の業績を把握する事に繋がり経営方針を決めるときに役立ちますので、経理を担当に一任するにしても帳簿の見方を覚えておくことはとても大切なことだといえます。青色申告には便利なクラウド申告ソフトがあり、簡単に帳簿管理ができるうえインターネットを利用して申告するe-Taxもサポートしてくれます。令和2年分の確定申告から、e-Taxと電子帳簿保存を行うと青色確定申告が例年通り65万円の控除が受けられますので、経理を自分でやらなければならないが時間が取れない経営者の方は、この機会に挑戦してみてはいかがでしょうか?