経営者が理解すべき健康診断の義務~定期健康診断の3つのポイント~

経営者のリスク

経営者であれば、労働安全衛生法で実施が義務付けられている定期診断を理解しておかなければいけない。近年ではとくに長時間労働の健康障害が問題となっていることが多いことから定期健康診断の重要性が増しています。今回は、経営者が理解すべき健康診断の3つのポイントを確認していく。

■健康診断の実施時期を理解する

清々しく生き生きと社員が意欲的に労働をする為には、それぞれが健康でなければならない。例え社員が1人だけでも健康診断を実施しなければ、50万円以下の罰金が科せられることもある。

アルバイトやパートであっても条件を満たしていれば、健康診断を受けさせなければいけないことを把握しておくことが大切だ。

健康診断の実施時期については主に下記となる。

・雇い入れ時・および年1回
・特定業務従事者(深夜業・坑内労働など)は6ヵ月ごとに1回
・海外派遣労働者が6ヵ月以上国内勤務となったとき

■定期健康診断の3つのポイント

◎定期健康診断の実施方法

まず、定期健康診断の実施方法は、「社員各自で健康診断を受信させる」ものから「病院で受診させるもの」や「会社で集団検診を実施する」ものまでさまざまな方法がある。

それぞれの定期健康診断の方法に応じてメリットやデメリットがある為、社員の業種などに応じて適切な実施方法を考えていかなければいけない。また、病院の健康診断にはさまざまな種類がある為、検査項目が不足しているものもある。

とくに、40~74歳の方を対象にした「特定健康診査」の一部検査項目が不足していることがある為注意が必要である。

◎定期健康診断の費用の支払い義務
結論からいえば、定期健診の受診の費用は会社が全額負担しなければいけない。だが、社員各自に病院で受診させた際に高額の費用(人間ドッグなど)がかかることもあり得る。この場合には、定期健康診断で必要な部分のみ会社負担にし、差額は自己負担にしてもいい。

社員にあらかじめ病院の定期健診費用を基準に会社負担の上限額を決定し通知しておくことが大切だ。また、定期健康診断の実施時期は社員ごとに異なってもいいのだが、できるだけ毎年同じ時期に健康診断を受診できるようにした方がいい。

◎定期健康診断は労働時間
定期健康診断において法律上は労働時間とみなす義務はないのだが、社員が不満を感じることが多い為、何か理由がない限りは定期健康診断に要する時間を労働時間として取り扱った方がいい。

例えば、社員が健康を害しているにも関わらず健康診断を実施していないことが原因で病気の発見が遅れることもある。もし、社員が健康を損ない労働ができなくなれば、経営者は労働者を失い社員は生活の糧を失うことになる。

その為、経営者はしっかりと健康診断の義務を理解することがいいのだ。