企業のグローバリゼーションが進む世界で、社内の会話をすべて英語にすると言った様な事例も見られるようになってきました。日本の企業でも、企業内でのやり取りを英語で行う必要があるのでしょうか?今回は経営者に求められる英語力をテーマにお伝えします。
社内公用語英語化は必然?
日本で創業し、働いている社員もほとんどが日本人。その様な会社にも英語力は必要なのでしょうか?日本企業の中で、将来的に世界展開を考えている企業であれば、英語力の高い人材の確保と、社内公用語英語化は必須と言えるかもしれません。
海外に支店・支社を展開するのであれば、現地採用のスタッフは必ず必要になります。また海外の文化を理解し、寄り添う形で展開しなくては企業として成功を得る事は難しいでしょう。英語ネイティブではない日本人スタッフの英語力を計る方法として、最も普及している方法は、スタッフにTOEICを受けてもらう事でしょう。
TOEICの受験者の大半は日本人という事実
TOEIC(Test Of English for International Communication)とは、”国際的な意思疎通のための英語のテスト”の事ですが、年間の受験者数は全世界で700万人ほどいると言われています。実は、その中で受験者数が最も多い国が日本なのです。因みに受験者数が2番目に多い国は韓国で、この両国だけで受験者数の半数以上を占めています。いかに、日本人そして韓国人が英語を習得したいと願っているかと言う証左でもあります。
TOEICという言葉はビジネスシーンに限らずよく耳にすると思いますが、その内容はどの様な物かご存じでしょうか?
TOEICは英語を聴く能力と読む能力がそれぞれ495点満点で採点されます。問題は全てマークシート方式となっており、問題、選択肢いずれも英語で記載されています。英文を日本語に訳したり、日本語を英語に訳したりする様な問題は出題されません。時間は120分間で途中休憩はありません。
TOEICは年10回、1月・3月・4月・5月・6月・7月・9月・10月・11月・12月に、全国約80会場で行われます。
受験料は6,490円(税込)なので、スタッフの英語力を計りたいと思っている経営者の方は、会社で費用を出してあげるのも良いかもしれません。
社内公用語英語化の意外なリスク
ここからは、社内英語化のリスクも見ていきましょう。
人材を確保しづらくなる恐れがある
まずいえるのは、ビジネスを行うのに必要な英語スキルを持っている人に人材登用が限ると、応募してくる日本人は少なくなる恐れがあるという事です。日本人の大半は日本語を母国語、英語を第二言語として学んでいます。
日常会話程度の英会話は出来る人も多くいますが、ビジネスシーンで必要な物事をすべて英語で伝える自信のある人は少ないと思います。その為人材を募集しても、応募者がなかなか集まらないという可能性が出てきます。
会議のクオリティが下がる危険性がある
日本語を母国語とする日本語ネイティブの日本人同士で会議を行う場合、日本語での会話であれば伝わっていた細かなニュアンスが、社内公用語英語化によって伝わりづらくなってしまう危険性があります。その場合、会議を開いても細部まで詰め切れず、齟齬をきたす恐れがあります。
日本人スタッフが辞めてしまう危険性
経営方針として、社内公用語英語化を行った結果、英語スキルに自信のない日本人スタッフが退職してしまう危険性もゼロではありません。そういった事態を防ぐ為には、十分な準備期間を取り、外部から英語講師を招くなどして社内での英語研修制度を充実させる必要もあるかもしれません。
まとめ
今回は、社内公用語英語化の効用とリスクについてお伝えしました。これから海外展開を考えている企業の場合であっても、英語が堪能な日本人スタッフを育成しつつ、社内公用語英語化は充分な準備を行った上で進めた方が良いと言えるでしょう。