事業承継でみられる失敗例とは?

企業経営情報

経営者は事業を継続していくにあたり、事業承継についても検討していくことが必要になります。しかしまだ引退するまで時間があるからと事業承継について後回しになっていないでしょうか。
事業承継は事前に対策をしておかなければ失敗する可能性が高くなり、事業承継の失敗は事業を失敗させる要因となりかねません。
どのような場合に失敗してしまうのか、様々な例を参考に事前の準備に努めて行きましょう。

平等に相続させることにこだわり過ぎたことによる失敗
まず失敗する例として、複数の子に平等に相続させたいという思いで後継者となる子に自社株を集中して相続させなかったというケースです。
例えば子が複数おり、それぞれ会社の権利を平等に相続させることを優先させたことで後継者になる子以外にも株式を分配したとします。
経営者が亡くなった後に兄弟間で対立が生じ、株式を保有する他の兄弟が経営の邪魔をしたことで事業が失敗してしまうことも考えられます。
相続問題の失敗が経営の失敗に直結したケースですが、株式や資産は会社の支配権ですので、遺言などで後継者に引き継ぐことが必要です。

相続税対策を行っていなかったことによる失敗
次に経営者が子を後継者として迎え入れることを決め、後継者教育も行っていたのに相続対策については行っていなかったというケースです。
経営者が亡くなり事業承継をする時、多額の相続税が発生したことで納税のために資金繰りが悪化して事業が失敗してしまうことも考えられます。
事前の相続税対策も重要だと言えるでしょう。

後継者が育っていなかったことによる失敗
経営者の人柄や信用などで経営が成り立っている企業の場合、取引先や銀行とのやり取りも全て経営者が行っているケースもあります。
実際に子を後継者に迎えることを検討していても、失敗することを恐れて経営者が手助けをする状況が続いていると、後継者教育が進まなくなります。
そのような中で経営者が亡くなり、事業承継の準備はできていないままで後継者が事業を引き継ぐことになれば失敗してしまう可能性もあります。
取引先など顧客離れだけでなく、社内の人材流失などが起これば勢いを失うことも考えられるでしょう。

後継者と現幹部が対立することによる失敗
後継者候補の子が役員として親の会社に入社し、子の上から目線での対応が幹部を中心として反発を生んだというケースです。
後継者候補の子を持ち上げる幹部も存在することになれば社内が二分化されることも考えられます。
経営者が亡くなり後継者が代表者に就任すると、その対立は次第に激化していくことで経営に悪影響を及ぼすことになるでしょう。

スムーズな事業承継が行われるために
このような事業承継における失敗例は、事前の対策を行っていれば回避できた問題もあると言えます。
また、対策を講じていたつもりでもその方向性が違っていたことで問題が生じるというケースもあるでしょう。
自社にとってどのような事業承継対策が必要なのかを見極め、スムーズな引き継ぎが行えるようにすることが大切です。