下請け業者の危機!社会保険の強制加入
社会保険未加入問題について法律が改正されたことにより、未加入の作業員は現場に入れないなど徹底的な動きが問題視されています。
これは国土交通省が社会保険加入を必須とするための動きで、平成29年度までには建設業許可業者は全て社会保険へ加入させるためです。それ以後について元請け業者が取るべき対応は、社会保険未加入の下請け業者とは一切契約をしない、そして未加入の作業員については現場に入れないというものになっています。
頭を抱える下請け業者も続出
すでに元請け業者から保険加入への厳しいチェックが始まり対応に追われている下請け業者も多く、準備を始めたものの社会保険料をどう確保して負担していくのかという壁にぶつかり苦戦している業者も少なくありません。社会保険料分の単価を上乗せして払ってくれる親会社の対応でもあればまだ違ってくるでしょうが、仮にそれまで言い値で仕事を受けていたのであればそれも厳しくなるでしょう。かといって作業員の給料を減らすということも上げるということもできない状況であれば、どうすることもできません。
労働者5人以上という規定を逃れることも困難
国土交通省は法人や個人業者のうち、労働者を5人以上雇用している建設業許可業者について、社会保険(厚生年金・建設国保などを含めた健康保険や雇用保険)へ強制加入を勧めて行くことを平成24年度から始め、平成29年度には完了させるために現在動いています。5人以上雇用していなければ該当しないという部分に着目し、作業員名簿には労働者なのに個人事業主として記載したり、5人以上労働者を雇用しているのに4人以下として記載するような取扱いに不自然さがある協力会社へも徹底した指導が行われます。
下請企業の選定時に確認・指導が行われる
平成29年度以降、社会保険への未加入が発覚した場合には先に述べたように元請け業者は未加入業者と契約することや現場へ入場させることを禁止しています。そして強制加入はもちろんのこと未納保険料の徴収、さらには営業停止処分の対象にするということも検討されています。建設業許可の新規取得や更新は、社会保険未加入でも申請受付を行っていますが、指導書が送付され加入を促されます。
建設業者をつぶさないために必要なこと
社会保険に加入して保険料を払おうとしても払えずに、やむなく未加入に陥っている下請け業者も多く存在します。解決の糸口としては、元請け業者に下請け業者の法定福利費を確保できるような仕組みが必要になってくるでしょう。この問題は今後さらに重層的な下請け構造、そして低単価、人材不足といった建設業界が抱える様々な問題点を深刻化させることになりかないと危惧する声も上がっています。社会保険に強制加入させるのであれば、そのような低単価などが改善されることも必要になってくるでしょう。