中小企業の場合、経営者がトップセールスマンであるケースは珍しくないため、もし経営者に万一のことがあると顧客離れなどで事業が一気に傾く危険性もはらんでいます。
銀行も経営者が亡くなることは売上が低下することを示唆するとし、最悪の場合融資の引き上げに繋がるなど悪循環です。
そこで、このような事態を回避するため、経営者の死亡リスクに備えた保険に加入しておくことが必要と考えられるでしょう。
節税を目的に人気のあった保険商品が取りやめに?
経営者の万一に備えた保険への加入が重視される中、2019年2月13日に、国税庁から生命保険会社に対し、契約者を法人とする保険期間3年以上の定期保険および第三分野保険のうち、ピーク時の解約返戻率が50%を超える保険商品については、税務の取り扱いの見直しを検討しているといった通知が行われました。
それにより、現時点でどのような改正がなされるのか、また、改正となる内容や時期なども不透明であり、税務の扱いも未定ということで、節税を目的として加入が増えていた経営者保険の販売を一時、取りやめる保険会社が出てきています。
すべての保険が取りやめになったわけではない
ただし、販売が停止されている保険商品は、解約返戻率が50%を超える定期保険および第三分野保険のため、すべての経営者保険ではありません。
掛け捨て型の生命保険商品で、定期保険や収入保障保険、医療保険、がん保険などは引き続き販売されますし、終身保険や変額保険、養老保険や年金保険などで全額資産計上の生命保険も加入できます。
そもそもなぜ国税庁は保険会社に通知を行ったのか
販売が停止される経営者保険の特徴は、契約主体が中小企業であり、経営者が亡くなると数億円単位の保険金が支払われるタイプのものです。
保険料は全額損金算入可能で、途中で解約すると保険料の大部分が戻ってくる内容となっており、節税目的で加入する経営者も多くいました。
しかし国税庁の考えとしては、解約時に保険料の大部分が戻るのなら、支払った保険料は損金ではなく資産計上すべきということです。
そのため、今の保険商品が、支払った保険料の全額を損金計上できることについて問題視し、今回の通知に至ったのでしょう。
本来の保険の目的を確保する上でやはり加入は必要!
節税対策に有効だった保険商品の販売が一旦取りやめになってしまったのは残念ですが、税金を抑える目的ではなく、本来の死亡に備えるという目的で保険に加入しておく必要性は高いといえます。
もしまだ経営者の死亡や病気に備えることができる保険に加入していないなら、加入を検討することをおすすめします。