日本の企業でニーズが高まる技術経営の人材はなぜ必要?

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近年では、高い技術・知識と経営能力が合わさった経営手法「技術経営(MOT)」が注目されつつありますが、これはどのような手法なのか、求められる背景などを確認しておきましょう。

技術経営とは何を指す用語?

「技術経営(MOT)」は、「Management of Technology」の頭文字を取って省略した名称であり、企業が保有する独自の技術などを、経営が管理・推進する能力を指している用語です。

日本のその年の経済活動における生産額を足した名目GDPを確認した場合、産業別構成比の約18%を製造業が占めています。独自性を活かし、競合他社を圧倒的に上回るレベルの高度な技術力を持つ企業も多いことが特徴の業種であることは、この数値からも理解できるでしょう。

ただ、それほど優れた技術力を持っていたとしても、製品や商品、事業として活かすことができなければ意味がありません。自社が持つ独自の高い技術は大きな経営資源だと捉え、有効的に活用できる経営人材のニーズが高まっている状態です。

技術経営の人材のニーズが高まる日本

現在の日本企業に必要なのは経営能力ともいわれています。日本はこれまで、欧米で開発された製品などを参考に、徹底した安全性の確保や品質管理、生産プロセスの合理化などで、低価格で高品質を実現させた製品を創出してきました。

それにより、日本製の製品や商品、世界市場でも絶大な支持を受けることとなり、戦後、世界第2位の経済大国まで発展を遂げたといえます。

しかしその一方、過去のそのような成功体験にとらわれ過ぎ、戦略的な製品や商品・サービスを創出するビジネスモデルにはなかなか移行できず、出だしが遅れてしまいました。このような背景が、技術経営の需要を高めたともいえるでしょう。

求められるのは独自の技術力を経済的価値に繋ぐ人材

経済が急速にグローバル化している状態ですが、画期的な製品や商品・サービスは、いずれも高度な技術力と関連することがほとんどです。そのため、いかに技術革新を短い期間で創出できるのかが企業の成長の鍵となり、事業継続にも繋がるといえます。

外部資源も積極的に活用しながら、技術開発に対する目標設定や戦略の策定など、マネジメントが必要不可欠となります。

しかし、何が必要かわかってもても、日本の経営者は技術や戦略のマネジメントの経験が浅かったことが、日本の国際競争力を低下させたとも考えられます。このようなことから、自社の技術力を経済的な価値に直結させることができる技術経営の人材に対するニーズが高まったと考えられるでしょう。