建築の瑕疵?請負業者が負うべき責任「債務不履行」とは

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完成した建物などが契約どおりの施工になっていないことで交換価値や使用価値を減少させるといった不完全な部分を持っている状態を「瑕疵」といいます。目的物が本当なら備えておく品質や性能、また、契約した内容などによって瑕疵かどうか判断されます。

 

 

建物など建築物に瑕疵があった場合

建物などに瑕疵があった場合、請負業者は「瑕疵担保責任」「債務不履行」「不法行為責任」の3つの責任を負うことになります。

瑕疵担保責任とは

建物など請負った目的物に瑕疵がある場合に発生する責任が瑕疵担保責任で、請負人である建築業者は一定限度の中で瑕疵の修補や賠償責任義務を負います。瑕疵担保責任は債務不履行責任の特則ですので、仕事は一応完了した状態だけれど目的物に瑕疵があるということなら瑕疵担保責任に関しての規定が適用になります。その場合、一般規定の債務不履行責任の規定は適用外となります。
・瑕疵担保責任の損害賠償の範囲

損害賠償の範囲はどこまでかと言うと、瑕疵があると知っていたら支払わなかったはずの費用である信頼利益、そして契約が履行されていれば得たはずの経済的利益も含まれます。瑕疵担保責任には存続期間があり、例えば土地工作物の場合は民法上引渡し後5年もしくは10年となっていますが請負契約締結の際にはこの期間は短くなる場合が多いようです。また、訴訟で瑕疵担保責任が争われた場合には瑕疵の主張は多数・多岐に渡ることから、瑕疵一覧表を当事者で作成して内容を明らかにした上での審理ということになります。

債務不履行責任とは

工事が既に完成しているなら瑕疵担保責任の問題ですが、工事が未完成であれば債務不履行責任の問題になります。そのため仕事は完成しているけれど建物に瑕疵がある場合なのか、それとも工事自体が未完成の場合なのかを区別するところが問題になるケースもあります。一般的基準としては、工事が途中で中断して最後の工程まで終えない場合は工事の未完成と判断し、最後の工程まで終了しているけれど不完全な状態で修補する必要がある場合は瑕疵があるケースに該当すると示しています。
・契約解除の可能性

債務不履行責任を負うことになった請負人は、契約解除というケースも考えられなくもありません。しかし過去の判例では、工事内容が可分で当事者が既工事部分の給付について利益を有する時は特段の事情がなければ既工事部分の契約解除はできないと判示されています。

不法行為責任とは

請負人は目的物に瑕疵がある場合、瑕疵担保責任だけでなく故意もしくは過失で他人の権利の侵害と損害を生じさせたことによる不法行為責任を負う可能性もあります。

完成した建物が契約どおりでない場合

仕事が完成しても建物に修補の必要があることで瑕疵があった場合には、瑕疵担保責任、債務不履行、不法行為責任という責任を請負業者が追うことになります。それぞれの違いと、発生する損害賠償責任についても理解しておきましょう。