相続対策に利用できる基礎控除や特例制度
相続を受ける場合に心配になるのが相続税のことです。実際にどのくらい税金がかかるのか、払えるかなど不安を感じる場合も多いでしょうが、実際にところは9割以上相続税がかかっていないのが現状です。相続税がかかる場合でも、特例やその他制度が適用になれば税額を下げることが可能です。
相続税の基礎控除
財産を相続した際に、課税対象となる額は相続税の基礎控除を超えた場合のみです。相続税の基礎控除の額は、平成27年1月から4割ほど減額となりました。算出方法は、
3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)
で計算します。法定相続人とはもしも相続放棄をした人がいても数に含まれます。亡くなった人(被相続人)に養子がいる場合、法定相続人として含める養子の数は、被相続人に実子がいる場合は1人、いない場合は2人が対象です。相続した額が基礎控除額以下の場合、相続税はかかりません。
相続税がかかる人はどのくらい?
発生している相続で、相続税がかかっている人は全体の6%程度です。相続の9割以上が基礎控除以下で相続税を納める必要が発生していません。
配偶者の税額軽減制度について
配偶者は原則相続税を納付しなくても良いように相続税の軽減規定があります。その理由としては、被相続人の財産維持形成には配偶者の貢献も関わるということ、同世帯で財産が移転するということ、生活保障を行う必要があるということ、次の相続開始時期が比較的早いことなどです。
配偶者の軽減規定は、配偶者の取得額が配偶者の法定相続分以下であれば配偶者に相続税は課税されません。また、配偶者の取得額が配偶者の法定相続分を超えている場合でも、取得額が1億6千万円までの部分には課税されません。
小規模宅地等の特例について
一定の要件のもとで、居住用宅地は330㎡、事業用宅地は400㎡までの土地については、評価額が50%もしくは80%減額される制度が小規模宅地等の特例制度です。相続開始直前の土地の利用形態によって、この制度に適用するのかしないのかが変わります。相続財産の大半を占める土地の相続が関わる制度ですので、対象になるのかならないのかで相続税が大きく違ってきます。
生命保険・退職金の非課税枠
生命保険や退職金を法定相続人が受け取った場合、相続税が非課税になる枠が設定されています。算出方法は、
法定相続人×500万円
で計算します。
様々な相続税の対策方法を理解しましょう
税制改正により、相続税の基礎控除は引き下げがありましたし、相続税率は引き上げられました。それにより納税者の負担は増えましたが、小規模宅地の特例の適用拡大、未成年者控除および障害者控除の引き上げなどにより税額を下げることができる改正も行われています。他にも配偶者は税額が原則発生しないような制度や、生命保険などを受け取った際にも非課税枠が設けられているなど相続税対策は様々な形で行うことができます。