会社の経営者は一定の条件を満たす従業員に対して生活の安定や再就職の援助を目的とした雇用保険に加入する義務があります。しかし、事業に従事していても個人事業主や社長、取締役やその他の役員については雇用保険の被保険者の適用を受けません。このような人は雇用保険に加入する事はできないのでしょうか?
【経営者は雇用保険に加入できない?】
これは株式会社、有限会社、合名会社、合資会社などそれぞれによって違ってきます。株式会社で取締役や監査役と登記された人に対して原則雇用保険は適用されません。有限会社の場合も同じく雇用保険の適用はされません。合名会社と合資会社の場合全ての社員と監査役において雇用保険の適用はありません。このように原則として雇用保険は取締役に対して適用されません。例外として一般労働者と同じように業務に従事し役員報酬を上回る報酬を受けている場合などは取締役であっても雇用保険は適用されます。
【兼務役員】
取締役でも代表権を持たない兼務役員の場合は労災や雇用保険に加入する事ができます。兼務役員とは労働者性を伴った役員(取締役)の事を言います。兼務役員と認められるには下記のような届け出が必要になります。
・雇用保険被保険者資格取得届
・過去3カ月分の出勤簿・賃金台帳
・取締役就任を明記した議事録
・登記簿謄本
・就業規則
・労働者名簿
・兼務役員雇用実態証明書
などの提出が必要になります。
【社長や個人事業主】
兼務役員でない社長や個人事業主は雇用保険に加入できませんが、それでは失業した場合に大きな不安が残ります。このような時に雇用保険の代わりになるものが「小規模企業共済」と言われる共済制度です。これは独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供している共済制度で、その主な内容は個人事業をやめた時や会社を退職した時、廃業した時などその後の生活資金等を積立ておくことが出来るものです。経営者で雇用保険等に加入できない人は将来の為にこれらの共済制度を検討しておくと安心でしょう。
【まとめ】
会社の経営者や、個人事業主は原則雇用保険に加入する事は出来ません。現在経営が安定していてもこのような不安定な世の中ですので今後どうなるかわかりません。このようなリスクを考えると雇用保険の代わりになる保険や共済制度をうまく利用しながら将来に備える事が大事でしょう。また取締役などの役員でも労働制が強く一定の条件をクリアすれば雇用保険に加入する事ができますのでわからない場合は管轄の各ハローワークへ問い合わせをしてみましょう。