業務委託契約作成時の注意点!課せられる賠償責任とは?

企業を取巻く危険

業務委託契約とは、当事者が他方に何らかの業務を委託する契約のことを言います。一つの会社でさまざまな業務について委託契約をしている場合もあり、トラブルに発展するケースも少なくありません。
業務委託契約書を作成する場合、将来困らないためにも注意点などをしっかりと押さえておきましょう。

 

【業務委託は請負か委任か】
業務委託契約は、他方にある業務を任せることを言いますが、民法上では請負契約と、委任契約のいずれかに該当すると明記されています。どちらの性質を持つかによってその意味や役割は大きく変わってきます。

・請負
当事者が、ある仕事を完成させることを約束して他方がそれに対して報酬を支払う契約形態を言います。
例えば、ビルの建設を請け負った企業は、ビルの建設が完成した時点で依頼された会社から報酬をもらうことになります。請負は仕事の完成が目的となっているという特徴があります。

・委任
対して、委任とはある事務処理を他方に委任する契約を言います。例えば、弁護士に訴訟の提起を委任する場合などがあります。この場合、請負とは異なり、仕事をすることで必ずしも勝訴するとは限りません。
委任は、仕事の完成(勝訴)で報酬が支払われるのではなく、注意義務を守り最善を尽くして職務を遂行することが契約内容となっているのが特徴です。
業務委託契約を締結する場合、このどちらに該当するかしっかりと見極める必要があります。

 

【損害が発生した場合】
万が一業務委託契約をしている企業や人との間で、損害が発生した場合、依頼した企業などは請負者、委任者に対して賠償請求ができるのでしょうか?
例えば、ビルの建設を委託した企業が、建設工事中に誤って資材を落下させてしまい、通行人に怪我をさせてしまった場合などがあります。
故意または、過失によって契約上の業務に違反して相手側、または第三者に損害を与えた場合損害賠償義務が発生します。これは例え、業務委託契約者に記載がなくても民法の規定に基づき当然の権利として認められるものです。
しかし、このようなリスクに対して、契約書に損害賠償の上限についての条項を入れておくようにしましょう。
契約書に損害賠償額の上限について、特に記載がなかった場合、万が一損害賠償が発生した時に、莫大な金額を請求されるリスクもあるからです。
また、故意に損害を与えた場合、受託者側の過失であれば契約書の上限内で責任を追及されることになりますが、委託者側の過失である場合、上限が無効化されるケースもあるため注意が必要です。
いずれにしても、お互い気持ちよく仕事をするために損害賠償や、上限については十分に話し合いをし、納得したうえで契約書を作成し業務を開始するようにしましょう。