経営者がたった1人で企業の舵取りを行うのは、重き荷を1人で背負うようなものなのかも知れません。しかし重荷を共に担う、協力して経営に取り組めるような人材が存在すれば、大きな助けとなるのではないでしょうか。そのような人材を育成していくにはどうすべきか考えてみたいと思います。
経営人材の必要性
会社経営を概略的に述べるならば、着手する事業で収益を上げるべく戦略を立て、会社という組織を動かし、達成する目標を定め、その目標達成に至る具体的な計画を立て、計画遂行のための予算を決め、既存事業を進めると共に新規事業を構想し、従業員の職能向上のため育成手段を考え、法人格である会社として意思決定を行う、等々、際限がない程多岐に及びます。
たった1人の経営者がこれら全てに着手するのは、余りにも無理があると言えるでしょう。本来なら手を付けるべき経営的業務があるにも関わらず、他で手一杯のためなかなか取り組めないというケースも少なくないかと思われます。
そんな時、経営的業務に携われる人材が自分以外にも存在し、共に協力して仕事を進めていけるとすればどうでしょう。1人のみで経営に携わるより遥かに負担が軽くなり、1人では手が回らなかった類の経営業務にも対応可能となり、互いに意見やアイディアを出し合うことで、より高度かつリスク回避に繋がる経営態勢が実現できるものと考えられます。
経営人材の育成プロセス
会社運営の助けとなる経営人材は、どのようにして育成していけばよいのでしょうか。その方法は、育成対象となる人材各々の個性や特性等により最適な型がそれぞれ異なると思われるため、万人共通の絶対的正解があるとは言えません。ここでは、あくまで1つの例として標準的な育成プロセスを示してみます。
まず、どのような経営業務に携わる人材が必要なのか、具体的に設定することが重要です。業務内容のみならず、経営陣に加える時期や人数まで視野に入れて検討すべきと言えます。
次の段階としては、育成対象となる人材の選抜を行います。
概ね社員の中から有望な人材をリストアップすることになるでしょう。加えて社外の人材を経営陣候補として中途採用するという手段も、社内に新しいノウハウをもたらし発展に繋げるという意味で有効かと思われます。
そして、選抜された人材について実際に育成が行われることとなります。研修等の実施により経営に携わる上で必要なスキルを学習させる方法が採られますが、それのみでは心許ない部分が否めません。
より実践的な経験、たとえば異動や配置換えにより、将来担当させたいと予定している分野の経営業務能力について、実務を通して身に着けさせるという取り組みが不可欠と言えるでしょう。
この育成過程で示される成果を判定し、これを反映させながら続く育成計画の内容について検討します。つまり、研修及び実践的業務による育成→その結果を判定→評価内容を考慮に入れて次なる段階の育成を実施→その結果を判定→…、という具合に育成と結果判定を繰り返すことで、経営人材としての習熟度を目標のレベルまで高めさせるわけです。
まとめ
以上のように、多岐に及ぶ経営業務を経営者単独で行うのは困難であり、その対策として経営人材の確保が有効であることを確認しながら、経営人材育成の方法の1つとして、求める経営人材の条件設定→対象となる人材の選抜→研修及び実務を通じての育成とその結果評価の繰り返し、というプロセスが挙げられることについて見てまいりました。
経営人材の存在は、会社の発展に大きく寄与するものと言えるでしょう。