株主総会は会社の経営方針を決定する最高決議機関ですが、取締役の再任では株主総会で選任議案の賛成票を半数以上集めることが必要です。
もしも代表取締役である会社経営者が不信任という結果になり、解職や解任されてしまうことになった場合、その手続において注意しておきたいことを説明していきます。
「解職」と「解任」は意味が異なる
中小企業では、たとえば代表取締役の不祥事や経営陣の内紛などで、代表取締役を解職・解任することもあります。
代表取締役の「解任」と「解職」は法的に意味が異なり、「解職」は代表取締役を代表権のない取締役にすることで、「解任」は代表取締役を取締役の地位から退かせることという違いを理解しておきましょう。
代表取締役の解職を取締役会決議で行う場合
代表取締役の解職では会社法の手続に従うことになりますが、取締役会設置会社の場合には取締役会決議で代表取締役を解職することが可能です。
その場合、次の3つについて注意しておきましょう。
・解職対象の代表は定足数に含まれない
・解職対象の代表は議長になれない
・取締役会から退席を命じられることもある
それぞれ説明していきます。
解職対象の代表は定足数に含まれない
代表取締役の解職のためには、取締役会決議を経ることが必要です。
取締役会決議の定足数や議決要件は会社法の定めに従い、定款の規定で要件が加重されていればそれも踏まえることが必要となります。
定款に記載がなければ、議決に加わることのできる取締役の過半数が出席し、出席した取締役の過半数の賛成が代表取締役解職には必要です。
ただし解職対象となる代表取締役は、この定足数には含まれず、議決に参加することもできません。
解職対象の代表は議長になれない
定款や取締役会規則などでは、代表取締役が取締役会の議長となると定めていることが一般的といえます。
ただし代表取締役の解職議案に関しては、解職の対象である代表取締役を議長にすることはできません。
他に議長となる資格を持つ取締役がいなければ、議長を選任する手続も必要です。
取締役会から退席を命じられることもある
解職の対象となった代表取締役に意見陳述の必要はなく、取締役会の場から退席を命じることも可能とされています。
取締役会の場にいれば混乱が生じるという場合、退席するように命じられてしまう可能性があることは留意しておいたほうがよいでしょう。