近年急増している役員の賠償責任!最低必要な限度額はいくら?

経営者のリスク

一昔前までは、役員個人が取引先から訴えられる事はありませんでしたが、ここ数年で役員が賠償責任を負うケースは確実に増加しています。
また、経営者が死亡した場合は相続人であるその家族も賠償責任を負う事になるのです。
万が一に備え、最低限度額はどれくらいに設定しておけば良いのかみてみましょう。

 

【会社役員賠償責任保険が必要な理由】
2015年に会社法が一部改定されて、未上場株の株主代表訴訟のリスクが高まり今後もさらに増加していく事が予想されます。実際に、株主代表訴訟は同族企業で多く発生しており、その数は全体の7割以上にものぼります。
株主代表訴訟は取締役が違法行為を行ったり、著しい判断ミスによって会社に損害を与えた場合、6か月以上株式を保有していれば誰でも取締役に対して提訴できるものです。
また、会社法によると「役員は、会社もしくは第三者に対して責任を負う」とあります。
会社役員の責任として下記のものがあります。
・善管注意義務
・忠実義務
・競業避止義務
・利益相反取引回避義務
・監視・監督義務
・一般の不法行為責任
・会社法上の特別責任
多くの場合この様な責任義務から役員が訴えられるのです。

 

【必要限度額の目安】
会社役員賠償責任保険は、賠償請求に対して無制限に補償されるものではありません。会社法では、役員の職務遂行に重大な過失がない場合などは、訴えられた場合役員が負う賠償責任額を必要最低限度額まで制限する事を定めています。
ですから、万が一役員個人が訴えられた場合を想定し、損害賠償の限度額をあらかじめ定款に盛り込んでおくと良いでしょう。
大まかな目安として代表取締役、代表執行役は年間報酬の6倍、その他の社内取締役、執行役は年間報酬の4倍、それ以外の役員は年間報酬の2倍程度が最低限度額の目安になるでしょう。
実際に役員が賠償責任請求をされる場合は、これに加え弁護士費用、裁判費用などが発生しますので会社役員賠償責任保険を契約する場合はこれらも視野にいれて、保険金額の設定をしましょう。

 

【まとめ】
近年会社の役員個人が、賠償責任が追及され訴訟にまで発展するケースも珍しくありません。株主代表訴訟や、第三者に役員が訴えられた場合その訴訟費用や、損害賠償金はすべて役員個人が支払うのが原則です。
大企業の社長であっても、中小企業の専務取締役でも、自分には必要ないと考えず万が一に備えておく事が大切です。