引責辞任した場合は退職金がもらえない?役員辞任で注意しておきたいこととは

経営者の保険

「引責辞任」とは、責任を自らが引き受け就いていた任務から立ち去ることです。

不祥事が発覚した企業経営者などが辞職するケースなどが該当しますが、引責辞任の場合には退職金がもらえない可能性が高いといえます。

基本的には役員はいつでも辞任することは可能ですが、引責辞任など辞任するときに注意しておきたいことについて説明していきます。

引責辞任の退職金の扱い

退職金は正確に「退職慰労金」と呼ばれ、退職を迎えたときに支払われます。

退職慰労金を設けている会社の場合、役員が退任するときに一定の退職金が支給されますが、従業員ではないため当然にその請求権があるわけではありません。

役員の退職金請求では、定款に定めがなければ株主総会の決議が必要となります。

株主総会で決議を得ることができず、退職金を受け取ることができないケースの例として、解任や引責辞任が挙げられるでしょう。

解任や引責辞任とは、何らかのミスや問題について役員が責任をとって辞めることであるため、その責任を負う役員に対し退職金を支払う必要はないと考えられるからです。

その結果、株主総会で決議を得ることができなければ、退職金は支払われることがありません。

役員の辞任はいつでも可能

本来、取締役はいつでも辞任し、役員であるという契約を解除することができます。

取締役を辞めたければいつでも辞めてよいため、仮に会社が辞任することを認めないと言った場合でも、承諾を得る必要はないといえます。

ただ、会社に不利な時期の辞任は、損害賠償しなければならない可能性があるため注意してください。

「不利な時期」とは、会社が遅滞なく事務処理を委任することが難しい時期などであり、役員の辞任ですぐに代替に業務を引き継ぐことができないケースなどが該当します。

損害を与える辞任をするのなら、損害分は請求されると考えておくべきなので、いつでも辞任はできるとしてもタイミングは見極めが必要といえます。

不利な時期に辞任すると賠償の対象に

会社にとって不利な時期に取締役を辞任すると、それによる損害は賠償しなければなりません。

取締役にとってやむを得ない事由のある場合には損害賠償責任を負うことはありませんが、その例として挙げられるのが重大な健康上の問題などです。

取締役が職務を継続することで、健康に何らかの影響を与えてしまうという場合には損害賠償請求の対象にはならないと考えられます。