有利子負債が多い場合、経営状況の悪化している企業という印象を抱かれがちですが、その理由として利息負担や返済義務などで財務安定性が損なわれていると考えられるからです。
しかし企業が成長するための借入金である場合もあるため、一概に有利子負債があることが悪いとは言いきれません。
そこで、有利子負債について、計算方法や他社と比較するときの注意点について解説していきます。
有利子負債とは
有利子負債とは、元金だけでなく利息をつけて返済しなければならない負債のことで、たとえば銀行からの借入金や社債などです。
多く有利子負債を抱えすぎれば利息負担が大きくなり、健全性を損なった状態と判断されがちですが、有利子負債としてたとえば次の3つが挙げられます。
・借入金
・社債
・コマーシャルペーパー
それぞれの有利子負債について説明していきます。
借入金
借入金には、
・短期借入金(返済期限が1年以内)
・長期借入金(返済期限が1年以上)
があり、長期借入金の方が利息負担は大きくなるものの、返済期間が長いため返済計画を立てやすくなります。
社債
社債とは、企業が資金調達目的に発行する債券であり、満期には元本と利息を支払うことが必要です。
普通社債や転換社債などの種類があります。
コマーシャルペーパー
コマーシャルペーパーとは、企業が資金調達目的で発行する無担保の約束手形で、社債と異なり償還期間が1年未満など短期であることが特徴です。
有利子負債と無利子負債の違い
そもそも負債とは返済義務のある負の財産ですが、次の2種類があります。
・有利子負債
・無利子負債
それぞれ違いとして、次のように分類されます。
・有利子負債のうち流動負債に該当…短期借入金・コマーシャルペーパー
・有利子負債のうち固定負債に該当…長期借入金・社債
・無利子負債のうち流動負債に該当…買掛金・前受金・未払金・支払手形・仮受金
・無利子負債のうち固定負債に該当…退職給付引当金
有利子負債比率とは
有利子負債比率とは、自己資本(資本金・利益剰余金)のうち有利子負債が何割を占めているのかあらわす指標です。
有利子負債比率(%)=(有利子負債÷自己資本)×100
財務の健全性や安全性を示し、比率が低ければ安全性が高いと判断できます。
他社と有利子負債を比較するときの注意点
有利子負債は利息をつけて返す借金であるため、少ない方が良いと考えるものです。
しかし成長戦略のための新規事業や設備投資、研究開発費などに積極的に取り組むためにはお金が必要になります。
将来を見据えた先行投資に有利子負債を抱えているのであれば、悪いとは言えません。
また、製造業や不動産業などの場合、サービス業などよりも有利子負債が大きくなりやすいため、有利子負債の比率は異業種ではなく同業の他社と比較しましょう。