現在、中小企業の経営者は平均年齢が上昇傾向にあります。そのため問題となるのは経営者の世代交代で、資本金1億円未満の企業では事業承継問題が顕著に表れている状況です。
一から起業したという場合でも、先代から承継した会社という場合でも、継続して経営を続けて行きたいと思うのはどの経営者でも同じでしょう。
そのため経営者の9割以上が自身の事業を承継することを望む状況にはあるものの、実際には円滑な経営者交代は行われていない状況のようです。
廃業を検討する経営者も存在する
事業承継によって経営を継続したいと願う経営者もいれば、反対に廃業することを希望する経営者も数%は存在します。
その理由として、現在の経営状況の厳しさなど債務超過状態に陥っていることが挙げられるでしょう。
債務超過に陥っていない企業でも、今後の市場が先行き不透明という状況から廃業という選択肢を選ぶケースもあるようです。
中小企業の事業承継は世襲がメイン
中小企業の場合の事業承継で多いのは世襲での承継です。しかし後継者として選ぶ条件として、血縁や親戚関係を優先するのではなく、経営能力の高さを重視する傾向は強いと言えるでしょう。
しかし役職員を後継者として選ぶことができないのは、中小企業の経営的な特徴にあります。
中小企業の特徴
中小企業の場合には、経営と会社所有が完全に分離されているわけではありません。個人企業の場合は言うまでもありませんが、法人だとしても株式の過半数は経営者というケースがほとんどです。
そのため役職員が代表取締役を引き継いだとしてもあくまでも雇われ社長という形となり、事業承継されたことになりません。肝心の議決権は元の経営者のままということになります。
それでも元の経営者が存命中であれば経営に支障は生じないことも多いでしょう。しかし亡くなれば相続が発生し、株式は相続人に渡ることになり問題が起こります。
問題となるのは株式
そのため会社の議決権である株式に対する相続に伴う混乱を避けるには、後継者に代表取締役の席と持株を譲らなくてはいけません。
同時に譲る場合には株式の売り渡しを行うことになりますが、役職員が買収資金を保有しているケースは少なく、さらに金融機関から資金を調達できるとも限りません。
このような理由から血縁関係以外の役職員に事業承継を行うことは困難だと考えられるでしょう。
解決できる事業承継方法は?
血縁や親族に事業承継させる後継者がいない場合、そして株を買収する役職員がいない場合には、他の会社に買収や合併というM&Aを選択する方法、もしくは社外の第三者が買収して新たな経営者が事業を運営するMBIという方法などを検討することになるでしょう。