相続や事業承継で問題になる相続税対策は減資により可能?

企業経営情報

経営者が株式の大部分を所有しているケースは多く見られます。そのため優良な会社では株式の株価が高額になっていること色々な問題が生じることがあります。
さらに経営者の個人所有の不動産である自宅の土地や建物、有価証券、生命保険金、退職金などを含んだ現預金などもあるでしょう。それらを相続する場合には相続税が発生し、相当な額になることも予想されます。

相続税が多額になると?
相続税が多額になれば金融財産だけで相続税の納税資金を賄えないケースも生じます。
生命保険金や退職金が高額だから大丈夫だと思うかもしれませんが、自社株財産は毎年増加していることに計算が及んでいないため、自社株の株価が高い会社になると二次相続まで考えた場合に相続税の納税資金が不足することが多く見られます。
そのため納税資金の調達は持株会社や本体会社に株式を売却するか、会社から何らかの形で借入れを起こすという形になるため会社の資金負担が大きくなるでしょう。

減資により相続対策が必要?
中小企業の事業承継の出発点として自社株対策が考えられます。事業承継全体の構想の中で検討していく必要がありますが、その中で「減資」を相続対策と有効に活用させることも必要になるケースもあります。

そもそも株式会社における減資とは?
「増資」とは出資の払い込みを受け、資本金を増やすことです。反対に「減資」というものもありますが、これは株主に資本金を払い戻すわけではなく、登記されている資本金を減少させることです。
資本金を減少させた場合、その分の資本金はこれまでの「資本金」という勘定科目から「資本準備金」や「その他資本剰余金」へ振り替えられます。
以前は株主に金銭を払い戻し減資する「有償減資」という手続きもありましたが、自己株式の取得が認められるようになり制度としてはなくなりました。

資本金が高いことは良いこと?
会社の信用力を確保する上で資本金を大きく持つことは必要かもしれませんが、資本金が高ければ様々な費用も発生します。
資本金が1億円を超えれば、法人税法や地方税において中小法人ではなくなります。中小法人ではなくなることにより、税率は高くなる上に交際費や減価償却費の優遇制度もなくなります。
事業税も外形標準課税といった計算精度を使う必要が出てきます。さらに資本金が5億円以上の場合には公認会計士による監査が必要です。

減資による税対策の検討を
上場していない会社の場合、資本金が大きければ信用力を確保できるといった目に見えないメリットはあるでしょうが、税負担というデメリットを考えると中小法人を選択したほうが良いでしょう。そのため資本金を減資することも方法として検討してみる必要があります。