2012年には団塊の世代が65歳前後になることで、労働力減少や技術や技能の断絶など様々な問題が懸念されました。
そして現在、多くの企業で後継者不在のまま世代交代問題を抱えている状態で、2017年、団塊世代の創業経営者たちは70歳代を迎え事業承継に対する決断を迫られている状態です。
経営環境は超高齢社会を迎えている
経営者は高齢化する中、会社の規模や業種によって事情は異なるものの人材育成や次世代に対する技術承継問題など依然として社会問題になっています。
帝国データバンクが公表した「2015年全国社長分析」では、社長の平均年齢は上昇し続けていることがわかっており、2014年時点で過去最高である59.0歳でした。
その他のデータでも社長の5人に1人は70歳代以上であると言われています。経営者の年齢は、総人口に対する65歳以上の高齢者人口が占める割合が21%を超える「超高齢社会」に突入していると言えるでしょう。
事業承継が進まない一番の理由は後継者不足
同じく帝国データバンクの調査では、社長交代率はたったの4%未満で推移していることがわかっています。経営者の超高齢化は進むことを考えると、企業は存続の危機にさらされると推測できるでしょう。
それではなぜ事業承継が進まないのでしょう。最も問題となるのは後継者が存在しないことで、後継者がいないから引退したくてもできない状況であると言えます。
後継者を育成するためには5~10年という期間が必要ですので、この先ますます現経営者が引退できない状況に追い込まれていくと考えられます。
現経営者が頑張り過ぎることも原因?
現経営者が高齢でありながらも、日々の忙しい業務でつい後継者問題を後回しにしてしまいがちとも言えます。
特に責任感が強い経営者であれば、今の元気な間に働かなくてはいけないという思いや、自分の信用力で経営が成り立っていると考えることで引退を後回しにする傾向が強くなります。
後継者が決まっていないと企業は成長しない?
後継者が決まっていれば長期での経営計画が立てやすくなりますので、企業パフォーマンスも向上するでしょう。どんなに遅くても現経営者の年齢が70歳になるまでには、事業承継に対する体制整備をしておかなければ企業は成長力や収益力を低下させ衰退する可能性があります。
後継者問題を先延ばしにすると…
しかしこのように後継者問題を先延ばしにしてしまうことで、経営者自身の体調が悪くなったり、病気を患ったりした場合、家族にその負担が圧し掛かることも理解しておく必要があります。
経営者が急逝し、株と連帯保証の相続が発生して配偶者や子などがたちまち窮地に立たされる可能性も理解しておきましょう。
後継者問題の後回しは家族に負担になる可能性もある
女性社長の比率を年代別に見た場合に80歳代が最も多いデータもあるのは、男性社長が亡くなった後でその配偶者がやむを得ず引継ぐといった背景があるとも考えられます。
このようなことのないように、後継者問題についてはなるべく早い段階から準備するようにし、後継者がいないのであればM&Aなど何らかの形で引継げる方法も検討しなくてはいけないと言えるでしょう。