経営者が抱える悩みはいろいろですが、中でもよい人材が育たないという人材育成の悩みは尽きることがありません。
次の経営者候補と考えられるような後継者を育成したいと考えても、実績は十分あげることができるのに自らの成果だけを考えていて上に立つには不向きという人材もいれば、組織の力の担い手なることを期待して責任者にしたのに、部下の面倒をみることを得意としていない人材という場合、中にはその人材についた部下は辞めてしまうといった場合など、いろいろなケースがあります。
自分だけなら十分に成果をあげることができる人材でも、部下にも成果をあげさせることができるかといえばそうではないのです。
単独で成果をあげる能力が高い人材のほうがよい?
自らが成果をあげることができる能力と、部下に成果をあげるまで育てることができる能力は同じではありません。
上に立ち、部下を指導・教育しながら成長に導くことができる能力がある人材がいれば、市場も開拓され必要な戦略も打ち立てていけるでしょう。
単独ではなく、組織を通じて成果をあげることができる能力を持った人材が必要です。
人材選びで注目したい要素
では、もし部下を任せマネジメントを担う人材を選ぶ時、何を基準に選出すればよいのか迷ってしまうかもしれません。そこで、次のような要素を持つ人材かを確認してみましょう。
□人の強みや得意とすることも認められるか
育てようとする部下の得意とすることや強みなどではなく、弱みや失敗にばかり目を向ける人材はマネジメントに向きません。できることをみるのではなく、できないことばかり指摘するようでは、組織の士気を低下させてしまうことになります。
□何が正しいか見極めることができる人材か
何が正しいかより、誰が正しいかに関心をもつ人材は、上司の立場には向きません。誰が正しいかに視点を合わせてしまうと、何かあったときに部下が正しくても自らの保身に走り、間違った判断を行いやすくなります。
さらには、間違いを犯しても、対策を講じて改善させるのではなく、隠ぺいなどを行おうとするはずです。
□人格や真面目さを認めることができる人材か
人格や真面目さ、技術や知識など能力の高さよりも、学歴や頭脳ばかり重視する人材も、上司としての立場に立つには未熟といえます。
学歴がなくても能力の高い部下が下についた場合、その部下の能力がトップに認められるようになり、もしかしたら立場が逆転するのではと恐れ、部下の能力を認めようとしない可能性があります。
間違った人材を責任者として昇進させないこと
もし組織の誰かを昇進させようと考えた時、これまでの成果や期待で人材を選ぶことでしょう。しかし、単独で成果を上げることができる能力の高さが、人を育てる力の高さと比例するとは限りません。経営者がそのことを理解しておかなければ、間違った人材選びをしてしまうことになるので、十分認識しておきましょう。