経営者など、役員は会社に対して責任を負うことになりますが、会社以外にも従業員、株主、取引先などに対しても責任を負います。
このように役員の責任の内容は多岐に渡りますが、誰に対してどのような責任を負うのかを具体的に理解しておきましょう。
会社に対して負う責任
取締役は会社から委任され、経営を行います。適法で適切な経営で会社に利益をもたらすことを目的とし、もし取締役の行為や不作為で会社対して損害を与えた場合、損害賠償責任を負うことになります。
会社法では取締役が会社に対して損害賠償責任を負うケースについて規定がありますが、責任の追及方法として株主が株主代表訴訟を提起することもあります。
株主に対しての責任
株式会社の場合、出資者(株主)が実質会社を所有しています。株主によって選任されて経営を委ねられている取締役が負う会社への責任は、株主に対する責任とも言えるでしょう。
株主に対する責任は損害賠償責任だけではありません。定期的に株主総会を行い、会社経営に関して株主への説明責任などが会社法で定められています。
従業員に対しての責任
会社経営者として、雇用されている従業員に対しての賃金支払い、人事労務関係の調整など、労働環境を適正に確保する責任があります。
就業規則を作成し、個人情報の保護、不利益扱いの禁止、セクハラやパワハラ対策なども含まれます。内部統制システムを構築し、問題発生時のリスクマネジメントについても検討する必要性については、取締役会の業務として会社法にも規定があります。
第三者に対する責任
会社法では役員が悪意または重大な過失で職務を行い、第三者に損害を与えた場合には賠償責任を負うことが定められています。
ここで言う第三者とは取引先などがあげられますが、他にも会社のサービスの利用者や、全くの無関係な第三者である可能性もあります。
これは会社だけでなく、民事上の損害賠償責任として、役員個人が責任を追及される可能性もあります。
社会に対する責任
会社は事業を行うことは営利を目的としていますが、それと同時に、物やサービスを提供することで社会に対して貢献することも期待されます。
その中で、販売する製品に欠陥があったことで事故が起きれば、報酬を減額されることや引責辞任という状況に陥るでしょう。会社の代表である取締役は、社会に対して責任を取ることが求められます。
責任の相手と対象を明確にすることが必要
取締役の責任は、対象となるもの、そしてその範囲は多岐に渡っています。
それぞれのケースに対処するために、どこがどのように問題なのか、誰を対象にした責任なのかを明確に理解する必要があります。