会社の内部統制は原則全ての事業拠点において、社内全体の観点で評価していくことが必要です。内部統制の評価は整備と運用状況の評価に区分されますが、同時に実施することが効率的でしょう。
整備状況の評価は、それぞれ部署の担当者や関係部署を対象として、質問や記録の閲覧など、確認事項に対する統制状況が適切な記述になっているか、適切な設計と業務が実施されているかを検証することが必要です。
経営者は内部統制の整備や運用責任を負う立場であるため、財務報告に係る内部統制を評価する上で、結果を踏まえて業務プロセスに係る内部統制の評価が必要です。
計画性を持って時期の決定を
経営者及び監査人が全社的な内部統制を評価します。全社的な内部統制の評価結果は、業務プロセスの評価の範囲に影響しますので不備が見受けられた場合には是正することが必要です。
ただし時間を要するため、会計年度の早い時期に評価を実施することが必要だと言えます。実施時期は監査人と協議の上、検討しましょう。
実際の内部統制評価は?
実施基準によると、経営者の内部統制評価は期末日を評価時点にするとなっていますが、期末日に全ての監査を実施して経営者が結果報告を受けた上で評価する事は困難です。
3か月前までの結果は有効と考えることができますが、3か月で全ての監査を行うのはやはり困難ですのでロールフォワードという監査手法で対応できます。
ロールフォワードとは?
ロールフォワードとは運用評価済みの統制を期末日近くに有効性を確認すという手法です。
第3四半期などに、事前に運用状況評価を実施して有効かを確認します。運用状況の評価後がロールフォワード期間となり、この期間に統制の変更がないか、期末日頃に確認評価を実施します。
このロールフォワード期間は長くなりすぎると運用状況の評価対象期間が短くなりすぎてしまい運用状況評価を行う期間としては不十分になってしまいます。
監査を行う場合、ロールフォワードとセットでフォローアップ監査を捉えましょう。
フォローアップ監査とは?
フォローアップは現場改善後の追加監査のことで、有効性評価において不備や欠陥があった場合に実施します。
整備状況評価に関して不備があった場合にも同じく実施することになりますが、継続して運用されていることを確認することが必要です。少なくとも3か月以上、改善された手順で運用結果を評価することが必要です。
運用状況評価の実施時期のイメージを
内部統制評価の方法として、ロールフォワードとフォローアップから考えると運用状況評価の実施時期がイメージできるでしょう。
初年度は特に不備があって当然と考えた場合、業務統制に関しての運用状況評価は第3四半期に終了することが良いでしょう。