【はじめに】
退職金制度は、多くの企業で従業員の雇用確保のために取り入れている制度です。
しかし近年では、退職金制度を見直す企業も増えてきており、廃止する企業も出てきています。
退職金を維持する企業であっても、退職金の算出方法を変え、給付水準を引き下げる対応をしている企業もあります。
こちらでは、退職金の定義や種類や支払い方法についてご紹介します。
【退職金制度とは?】
「退職金制度」は、正式には「退職給付制度」といいます。
「退職金制度」には、退職後一括して支給される「退職一時金制度」と、一定の期間もしくは生涯にわたって一定額を支給する「退職金年金制度」の2種類があります。
厚生労働省は、労働時間、賃金、退職金などに関する調査「就労条件総合調査」について以下のように定義しています。
任意退職、定年、解雇、死亡等の事由で雇用関係が消滅することにより、事業主又はその委託機関等から当該労働者(又は当該労働者と特定の関係にある者)に対して、一定の金額を支給する制度を指します。(平成25年就労条件総合調査結果の概況 退職給付(一時金・年金)制度」から引用)
退職金は、自己都合や定年、解雇や死亡などの事由に対して支払われます。
また、その原資となる資金の準備に関しては、社内で準備する方法と、事業主が外部機関に月々積み立て、準備する方法があり中小企業に関しては、外部機関を利用するケースが比較的多いようです。
【退職金の支払い方法や内容】
ではここで、退職金の支払方法についてご紹介します。
退職金は主に退職日に支払われます。金額については、勤続年数と職能に応じて算出されますので、勤続年数が長く職能が高い方に関しては、勤続年数当たりの単価が高額となります。
また、勤続年数が同じの場合でも、各企業ごとに就業規則で決められているため、金額が変わることがあります。
さらに同じ企業であっても、退職事由により支給額が異なります。自主退社が低く、会社都合や定年退職の場合は高くなり、特快解雇や論旨解雇では、支給されないか減額されることも考えられます。
【まとめ】
退職金は法律で決められているものではなく、企業ごとの就業規則によりますので、近年では退職金制度を廃止する、もしくは社員の選択制にする企業も出てきています。
しかし、企業が就業規則で退職金制度を明記しているのであれば、それは賃金の一部となるため、企業は必ず支払わなければなりません。
また、退職金は退職金所得として、所得税と住民税が課税されますが、勤続年数に応じ補除があり、税率が低く設定されています。
退職金は、退職直前に特に意識しがちですが、企業の就業規則などをきちんと把握することが重要かと思います。