勝訴率が極めて低い行政訴訟とは?原告が勝訴するのは至難の業

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行政訴訟とは民間人が国や自治体を相手に訴訟を起こす事をいい、最近では医療事故や原発問題、水俣病訴訟などが大きく取り上げられています。行政訴訟について詳しくみていきましょう。

【行政訴訟とは】

行政訴訟とは国や地方自治体などの行政機関の行った行為に対して争いその取り消しや変更などを住民が原告となり求める訴訟の事を言います。該当する訴訟は国家賠償法、行政事件訴訟法によるものがあります。相手が国や自治体という公権力を相手に民間人が訴訟を起こす行政訴訟は勝訴する事が極めて難しいと言われており、原告側が勝訴する確率は10%に満たないと言われています。またこのような現実から行政訴訟を引き受けてくれる弁護士を探すのも難しいと言われています。

【行政訴訟の難しさ】

行政訴訟で勝訴する確率がここまで低くなるのは原告と被告の間に明らかな力の差があり、情報力などに圧倒的な差があるからだと言えるでしょう。例えば原告の主張に沿った証言を法廷でしてくれる関係者を探すのは容易な事ではありません。訴訟を維持するための時間や費用も膨大にかかる事が予想されます。これに対し被告(国)側の代理人は本職が裁判官や検察官である為行政訴訟で訴えられた場合、費用や手間を考える事無く彼らを活用する事ができ、医師の証言が必要な場合には国公立大学の有名な医師を呼び証言させる事も可能なのです。このように権力とお金を持っている被告に対し一般の民間人が行政訴訟を起こしても勝訴する確率は非常に低くなるのは明確です。このように多くの原告は法廷で国の過失や因果関係を立証する事が出来ず敗訴してしまうのです。

【医療ミスによる行政訴訟】

最近特に頻繁に起こっている医療ミスについても行政訴訟が行われる事がありますが、患者側が勝訴する確率はわずか2割と言われています。しかし医療ミスが明らかな場合訴訟はせずに訴訟前示談という方法で解決する事もあります。反対に訴訟になるケースは過失の有無が明らかではなく立証が困難な場合が多いのです。医療事件の裁判は通常の裁判と比べ過失の意味合いが若干異なり、医療においてその治療が標準的な治療行為に達していれば過失として認められないケースもあるのです。また医療行為は専門性が高く過失の立証が通常の裁判よりも難しいといった事もあります。更に医療機関側の過失があったと立証してくれる医師を探す事の難しさもあります。このようなマイナス面がいくつか加わり医療事件での患者側の勝訴率は低くなるのです。

【まとめ】

行政訴訟は原告が勝訴する確率はとても低く裁判も困難を極める事が予想されます。しかしそれでもなお裁判を起こし国や地方を相手に訴訟を起こそうとする人がいるのは残された遺族や被害者が被告に対して誠実さやそこで何が起こったのか本当の事を知りたいと願うからでしょう。本来ならば法の場は公平で正確な判断を下す為に権力やお金とは切り離したところで裁きを受けるべきなのですが現実にはそれとは程遠い場所にあるのが残念でなりません。