経営者の大きな悩みの1つとして、誰に、いつ、どのようにして事業を承継するのかという問題があります。事業承継には、思った以上に時間がかかるため、早くから計画的に準備を進めておく必要があります。
その時に役に立つのが「事業承継計画書」です。事業承継計画書とはどのようなものなのか、また作成の仕方などをみてみましょう。
【事業承継計画書とは】
事業承継計画書とは、中長期の経営計画に自社の事業承継の時期や、具体的な対策などを盛り込んだ計画書のことを言います。
事業承継を、スムーズに円滑に行うためには中長期的な視点に立った、公正な計画書の立案、実行が大切になります。
事業承継計画書を作成することで、自社の弱点や強みが明確になりますので、今やるべきことの整理や、確認を行うことが出来るようになります。また、会社が抱える問題や、将来の見通しを現経営者と後継者で話しあうことが出来るため、両者の認識を一致させ事業承継を行うことが出来ます。
【事業承継計画書の作成の仕方】
では、実際にどのような方法で事業承継計画書を作成すればよいのでしょうか?
企業の事業承継は、ただ単にトップが入れ替わることで終わるという簡単なものではありません。事業承継は長期プロジェクトと言われ、少なくとも10年は掛かると考えておきましょう。
このようなことを視野に入れながら経営を行っていれば、現経営者はおのずといつまでに後継者を探し、いつ頃には経営の交代を行うようにすれば良いのかが、明確になるのではないでしょうか?
まずは、現経営者の会社や事業に対する想いや理念を、後継者やそこで働く社員に形にして伝えることが必要になります。どのように承継していくのか、方針と課題を決め、そこに向かってどのような方法で進んでいくのかを「事業承継10年計画書」としてまとめていきましょう。
【作成時のポイント】
作成時には、下記の項目について数値計画や、実施計画、推移計画を考えていきましょう。
・損益計算書の10年計画・賃借対照表の10年計画
・主要関係者の年齢、持ち株数、比率、役職、育成計画など
・事業戦略にあたっての課題と、計画の進めかた
・組織の体制、仕組みの確立における計画と課題
・財産承継に対する計画書
などを作っておきましょう。
【まとめ】
事業承継計画書は、事業をスムーズに円滑に承継するためには必要不可欠なものです。後継者育成のためにも、早くから事業承継計画書を作成しておく事をおすすめします。