経営者の大きな悩みの一つとして事業承継がありますが、事業承継をスムーズに行うことができれば後の事業の成功や、後継者の負担も軽減されます。スムーズな事業承継を行うためにも、統計をもとに成功させるポイントについてみてみましょう。
【統計から見る経営者と後継者の関係】
中小企業庁の統計によると、一昔前までは、親族内承継が主流でしたが近年は親族内承継を希望する経営者は減少傾向にあります。
具体的な数値を見ると20年以上前までは85%が親族内承継で、親族外承継は約15%でした。しかし、近年はその割合が逆転し親族内承継は35%、親族外承継は65%となっています。
このようになった背景には、M&Aによる事業承継が急速に増加したことが一因としてあります。
また、近年の不景気によって業績が思うように伸びず会社を子供に継がせたくないという経営者や、子供自身の働き方も多様化していることがあるようです。
【事業承継で大切なこと】
事業承継を行う上で大切なことは主に3つあります。
・誰に承継するのか
事業承継には、後継者の育成、相続税などの税金の確保、従業員への周知など思った以上に時間が掛かります。現経営者が元気であっても、50歳を過ぎた頃から後継者を誰にするのかなど、少しずつ準備を始めましょう。
・どのような方法で承継するのか
事業承継には、親族内承継、従業員等への承継、M&Aの3つの方法があります。どのような方法で事業承継を行うのかを明確にしておきましょう。
・いつ承継するのか
相続はいつ発生するかわかりません。特に、経営者が突然に亡くなった場合、何の準備もしていない場合は後継者だけでなく、多くの従業員やその家族にも大きな影響が出てしまいます。元気なうちに、事業承継の準備を進めていつ事業承継をするのか事業承継計画書を作成しておくことが大切です。
【事業承継を成功させるために】
このように事業承継には多くの時間が掛かりますので、早めに取り掛かり、計画的に進めていくことが大切です。
親族や、従業員に承継する場合は後継者教育として、最低でも5~10年は必要になると言われています。また、株式を移転するタイミングにも注意が必要で、時期によっては課税金額が大きく変わりますので顧問税理士などと相談をしながら事業承継をする時期を決めていきましょう。
中小企業の場合は、特に誰を後継者にして事業を引き継ぐのかという事は、大きな課題になります。後継者の負担も考えながら、スムーズな事業承継を計画しましょう。