個人事業主と、法人企業の場合事業承継の手続きや代表が変更した場合の納税者に違いがあります。
個人事業主の方は、事業承継をする場合にこれらのことを頭に入れておく必要があります。
どのような違いがあるのか詳しくみてみましょう。
【個人事業主の事業承継の手続き】
法人の場合、事業承継を行い代表者が変更されても納税者は同一企業ですので、変更前と変更後で変わりはありません。
しかし、個人事業主の場合この点が少し違います。
個人事業者は個人ですので、事業承継をした場合納税者も後継者に変わることになります。ですからそれに伴いさまざまな手続きが必要になります。
まずは、前代表者が廃業届を出してその後、後継者が開業届を出すことになります。
これで代表者の変更はできました。
また必要な場合は青色申告承認申請書も提出することになります。
そして、今雇っている従業員等も一旦解雇して、新たに新代表と雇用契約を結ぶことになります。
このように面倒な手続きも多くありますが、新代表となって個人事業を開業するため、一定期間免税事業者となり、節税ができる点はメリットと言えるでしょう。
【廃業届・開業届】
個人事業主の事業承継に欠かせないのが、現経営者の廃業届と、後継者の開業届です。
これらの手続きは、最寄りの税務署でできますが、現経営者が簡易課税制度を利用していた場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書
を提出する必要があります。
また、開業する後継者側も事業開始をしてから1か月以内に開業届を出すこと、青色申告納税を希望する場合は、事業開始2カ月以内に「青色申告承認申請書」を退出することになります。
さらに注意点として現経営者が減価償却について定率法を取り入れていた場合、後継者も定率法を採用したい時には新たに届け出をする必要があります。
後継者が何も届け出をしなければ、定額法となってしまいますので注意しましょう。
【その他の注意点】
個人事業主の事業承継について名義だけ変更すればよいと簡単に考えている人もいますが、決してそうではありません。
例えば、現経営者が銀行などから借り入れをしている借入金については、事業承継をする際に全額返済しなくてはならなかったり、取引先や融資先から代表者が変わると信頼がなくなり、取引の停止や融資を断られることもあるのです。
【まとめ】
個人事業主の事業承継は、法人に比べさまざまな手続きが必要になったり、後継者の信頼がない場合は事業を継続することが困難なケースもあります。
これらのリスクを考え、経営者は早くから後継者の育成や周囲への承認に力を入れておくべきでしょう。