時代は、少子高齢化に突入していることを度々耳にすることでしょう。中小企業の後継者問題は、日本経済の雇用に大きく関わってきます。その為の対策として平成30年4月から「事業承継税制」の「贈与税や相続税」に関して猶予と免除を施行することになりました。今回は、事業承継をする後継者が相続を有利に承継するための「保険受取人」について紹介していきましょう。
■「事業承継税制」の緩和
平成21年から「中小企業」の減少に歯止めをかける為の政策でしたが、平成27年までに利用する中小企業は少なく、廃業になる企業に対して有効ではなかった事から事業承継をスムーズに先代事業主から後継者へ移行する為に税制の緩和が平成30から施行されることになったのです。それまでの税率が20%だったのに対して「贈与税や相続税」は100%の免除になる条件ができました。
■相続の受取りを活用するには税金免除の条件が必須
1:後継者が会社の代表を5年以上継続すること。
後継者は、理由の是非にかかわらず、5年間は代表を退くことができません。
※代表を退くことで贈与税や相続税が一括納税になります。
2:後継者は株式(非上場の株式)を保有し続ける事。
株式(非上場の株式)の譲渡において他社との資本提携やM&Aを禁じています。
※譲渡の違反をした場合には贈与税や相続税が一括納税になります。
3:会社の雇用割合が8割の平均で5年以上保つことです。
※雇用8割を満たさない時には、認定経営革新等支援機関からの指導や助言を求めます。
■保険の受取人で事業承継のリスク回避を併用する
事業の承継者である後継者は、株式の購入をすることと、自社株の評価を引き下げることが重要になってきます。「生命保険の受取人」になることによって、「相続税の免除」と「自社株の購入」という事業承継のリスクと税制対策が同時に行える方法となっています。これは、法定相続人が事業を引き継ぐことによって最大限に活用できるのです。
◎事業承継が法定相続人の場合
自社株式の購入の為には、先代社長が非保険人となって受取人が法定相続人で、なおかつ事業の後継者であることです。これは民法の解釈として相続の対象から除外されるので他の法定相続人から遺留分(最低限度の分配)が要求できないからです。次期後継者は、株式購入の為の資金とすることが可能になります。
◎保険が株式の低評価につながる
高額支払いの生命保険によって「一部損金」が発生するので、会社の経費にあてることになり、損金が結果的に自社株の評価を下げて後継者の株式購入が有利に運びます。時期的には保険の解約返戻率が最も高いときに会社を引き継ぐことが望ましいのですが、先代が亡くなった場合には時期は選ぶことができないでしょう。この引き継ぎには、先代への退職金も経費となり結果的に株式の評価が下がります。保険の商品にはいろいろあるので、どれがベストなのかは、専門家を交えて(保険関係者または弁護士など)事業承継の為の保険を選んだほうがよいでしょう。
◎事業承継が法定相続人以外の場合
後継者が法定相続人以外や他人の場合などには、相続税や贈与税の免除が望めないので、株式を下げる事だけを目的にしなければなりません。
■中小企業庁による事業承継の補助
中小企業庁は毎年の公募によって、経営者の交代で事業再編などに経営革新等を行う事業者へ、経費の一部を補助しています。中小企業に世代交代は、国の税制や補助金によって、次世代の日本経済を安定や上昇に助けになるように施行しているのです。
次世代の後継者は、先代の代表者存命中に会社の引継ぎを安全に資金面や税制に対応することが望ましいです。「資金の調達」と「株式の評価を下げる事」を目標に、保険の受取人として活用することがベストだと考えられます。