企業の行う福利厚生には法律で定められた法定福利厚生と、任意で企業が行う法定外福利厚生があります。法律で決められている法定福利厚生の内容と保険料についてどのようなものがあるのか詳しくみてみましょう。
【法定福利厚生】
法定福利厚生の主なものは事業主が社会保険に加入し保険料を負担する事を言います。
私達に一番身近な健康保険も法定福利厚生の1つで、ある程度の規模を超える大企業の場合はそれぞれ健康保険組合が作られ独自に運営しています。
このように会社内に健康保険組合を持たない中小企業などでは従業員の健康保険は全国健康保険組合によって運営されます。
【事業主が負担する保険料】
保険料は事業主が従業員に支払う賃金をもとに決められる標準報酬月額に所定の保険料率をかける事で計算されます。
ですから給料が多い人ほど給与から天引きされる保険料も多くなります。
保険料は事業主と従業員が原則折半する事になっていますが、健康保険組合の場合は事業主の負担分を多くする事が可能であると規定されています。
ちなみに標準報酬月額は毎年4、5、6月の3か月分の給与をもとに算出されこれをその年の9月から1年間使う事になります。ですからこの3か月間に残業を多くすればその分保険料も高くなるのです。
【事業主が負担するその他の保険】
健康保険以外にも事業主が負担する保険は多くあります。例えば、企業などで働く従業員に対しては、厚生年金保険があります。保険料は事業主と従業員が折半し、賃金に基づいた標準報酬月額に規定された保険料率をかけて計算します。
また従業員の勤務中や通勤途中の怪我などを補償してくれる労災保険や、将来介護が必要になった場合に給付される介護保険にも40歳以上の被保険者は加入する事になっています。
労災保険については事業主が全額保険料を負担するようになっています。
雇用保険の失業給付等に関する費用については従業員と事業主が折半しますが、雇用安定事業や能力開発事業に関する費用は事業主の全額負担になっています。
このように多くの保険料を事業主が折半または全額負担しているのです。
【まとめ】
法定福利は法律で決められたもので、健康保険や雇用保険、厚生年金保険などの保険料は事業主と折半する事になります。
また福利厚生は一部の社員や役員だけに適用されるものではなく、全社員を対象としたものでなくてはなりません。これを機会に自分が勤めている会社の福利厚生規定についてもしっかりと把握しておく事が大切でしょう。