経営者が理解すべき会計の知識とは?

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経営者にとって会計の知識は理解しておくべきだ。だが、経営者は事業のことだけ進めて考え、会計は事務に任せておけばいいという意見もある。実際そうであるのだが、会計=簿記=「帳簿を作成し決算を組むこと」という枠で捉えているのであれば、間違いだ。今回は、経営者が理解すべき会計の知識について見ていく。

■経営者のための会計知識

そもそも会計は、下記のようにさまざまな局面で利用する場面がある。

・商取引を帳簿に記録する会計
・適切に税金を計算する会計
・経営成績や財政状況など正確に計算する会計
・投資を行って実際に投資資金が回収できるか否かの会計

さらに経営者であれば、まず会計の種類を把握する必要がある。大きく分けて会計の種類は、財務会計と管理会計に分けられ、財務会計はさらに以下の3つに分けられる。

①会社法会計
貸借対照表と損益決算書を作成することを目的にしているが、作成するときのルールは、会社法のルールとなっている。

②金融商品取引会計
貸借対照表と損益決算書を作成することを目的にしているが、作成するときのルールは、金融商品取引法のルールとなっている。

③税務会計
税務申告を行うことを目的としている。例えば、法人税の場合、法人税法のルールに基づき会社法会計に従い作成した損益決算書の利益をスタートにして、税金額を計算する。税金が苦を計算する書類=「税務申告書」という。

非上場会社であれば「会社法会計」と「税務会計」が対象となり、個人事業主であれば「財務会計」のみが対象となる。

また、上場企業であれば証券取引所に「金融商品取引法会計に基づく決算書」を提出しなければいけないため、上記の①~③全てが対象となる。

このように事業体により利用する財務会計が異なるのである。それぞれの財務会計ごとに適応するルールが異なるため、目的に応じた決算書をきちんと作成するためには、簿記の知識・会計基準の理解が必要なのだ。

管理会計については範囲が広いのだが、特に以下のようなケースで用いられる。

・部門別の利益計算
・商品を企画開発する際の原価
・工場を新設する際の投資回収期間の計算
・資金繰りの予測

つまり管理会計とは、経営者が活用したい情報を得るための会計である。そのため、財務会計のように必ず利用しなければいけないものではない。

だが、販売戦略を立てる、事業や製品の採算を測る、投資を行う、借入を行うなどの重要な意思決定を適切に行うためには非常に重要なのだ。

経営者は、高度な簿記の知識(会計基準や財務の実務的な規則)を知っている必要はない。だが、財務会計においては、決算書を読めるだけの会計の考え方や会計用語を把握していることが必要である。

管理会計においては、経営判断のために必要な情報を知り、その情報を活用するための考え方を理解することが経営者に求められる。