経営者が知っておくべき労働問題知識!従業員を解雇できる事由

経営者のリスク

経営者は従業員を解雇する際、経営者の判断だけで一方的に解雇することはできません。解雇が有効とされるためには、解雇権を濫用したと判断されないような正当な理由が必要となります。従業員を解雇できる事由について見てみましょう。

【私傷病を理由とするもの】
経営者と従業員の間の労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、これに対して使用者が賃金を支払うという形で成立しています。しかし、労働者が業務外の私傷病によって、労務を提供することができない場合は、労働契約の債務不履行になり、目的を達成することができません。このような場合は、労働契約を解除し、解雇せざるを得ません。
ただし、私傷病による解雇には注意が必要です。単に私傷病に疾患したというだけでは、労務を提供することができなくなった、とは言えず職場復帰の目途が立たない状態などで長期間の療養を要する場合に解雇できるものとなっています。

【勤務態度・適格性・能力不足】
勤務態度の不良は、会社や上司のいう事を聞かない、同僚との協調性がない、職場のルールや規律を守らずに会社や取引先でトラブルばかりを起こしている状態を言います。勤務態度の不良や適格性の欠如などは内容や、程度も様々ですので一概に言えませんが、主に下記のような点が含まれます。
・勤怠不良の回数、程度、期間、やむを得ない状況の有無
・職務に及ぼした影響
・使用者からの注意、指導の機会の付与
・過去の非行歴や勤務成績
等を見ながら、解雇について検討されます。

【経歴詐称】
労働者が、会社に採用面接を受ける際の履歴書や、面接時に学歴、職歴、経験、犯罪の有無などについて真実とは異なることを伝えていた場合、経歴詐称となります。
ただし、経歴詐称があればどのような場合でも解雇できるわけではありません。経歴の詐称に重大な信義則違反に該当するかどうかを慎重に判断し、該当する場合は解雇の対象となります。

【まとめ】
経営者は、上記のようなことがあれば労働者を解雇することはできますが、それを証明するための有効な情報も必要になります。また、解雇の事由が正当なものであっても、経営者はできるだけ解雇に至るまでに労働者と歩み寄りを重ねたかも重要になります。
解雇権の濫用と判断されないためにも、解雇の事由が合理的か、解雇を回避するために努力をしたか、労働者に対して事前に説明や協力義務を尽くしたかが重要になります。