重要!業務委託契約書作成のポイント!賠償責任について

経営者のリスク

近年、企業に雇われるのではなく企業と対等の立場で業務の依頼を受ける「業務委託契約」という働き方で仕事をしている人も多くいます。この時に会社側と、個人とでかわす契約書を「業務委託契約書」と言います。業務委託契約書作成時の注意点をみてみましょう。

 

【業務委託契約書作成時の注意点】
業務委託契約書を作成する場合、企業側が特に気を付けなければならない点は、損害賠償条項についてです。
契約書には、損害賠償責任という条項が定められる場合があります。損害賠償の目的は、主に下記の3つがあります。
・債務不履行がなければ得られたであろう利益を補償してもらう
・相手側の義務違反により受けた積極損害を補償してもらう
・契約上の義務の履行を心理的に強制する
損害賠償の目的として、主にこのようなものがあります。契約書を作成する時にはこれらを必ず入れておくようにしましょう。しかし、万が一損害賠償に関する定めがなかった場合はどうなるのでしょうか。

 

【民法の適用】
もし、業務委託契約書に損害賠償条項がない場合は民法によって損害賠償を請求することができますので覚えておきましょう。
民法第415条には、下記のような債務不履行による損害賠償を定める規定があります。
「債務者がその債務の本旨に従った履行をしない場合、債権者はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。
債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることが出来なくなったときも同様とする。」と民法第415条にあります。
民法にこのように定めがありますが、契約書に敢えて損害賠償について定めるのは契約上の業務に関する心理的な強制と、民法の原則とは異なる損害賠償の条件を定めリスクの管理をすることが目的です。

 

【損害賠償条項の定め方】
契約によっては、損害が予測しにくいケースもありますが、損害賠償リスクを限定させる方法としてはいくつかの方法があります。

・賠償額を定額で定める方法
甲及び、乙は相手方が本契約の各条項のいずれかに反する行為を行い、損害を被った場合は、相手方に対して損害賠償金として金〇〇円を請求できる。

・賠償額を違約金として定める方法
乙が、その責めに帰すべき事由によって、第〇条の義務の履行を遅滞した場合、甲は乙に対して遅滞日数1日あたり○○円の違約金を請求できる。
などの方法があります。
いずれにしても、業務委託契約書を作成する際には損害賠償について十分検討し自社にあった方法で定めを記載しておくとよいでしょう。