近年中小企業に多いのが、オーナーから雇われ社長を頼まれるケースです。
しかし、雇われ社長には人事権や、経営権などについてどこまで権限があるのか明確に理解している人は少ないのではないでしょうか?
しかし親族間で経営権争いが発生することもありますので、就任前には雇われ社長の権限についてしっかりと確認しておく必要があります。
【株式を過半数以上所有する者がいる場合】
株式を過半数以上所有している者がいる場合は、その人物が人事権を持つことになります。
株式は必ずしも雇われ社長が多く持つわけではありません。
むしろ雇われ社長以外の者が人事権や経営権を持つケースの方が一般的でしょう。
過半数以上の株式を所有していれば、取締役の解任、選任も自由にでき代表取締役の選任も自由にできます。
代表取締役は、会社の業務執行など大きな権限を持っていますのでその人物が実際に経営権を握ることになります。
【株式を過半数以上所有する者がいない場合】
過半数以上の株式を所有しない場合は、下記のようないくつかのパターンがあります。
・株主間で多数派形成ができる場合
意見の相違があっても、お互いに協力して過半数の株式を抑えることができれば経営に大きな支障はでません。
・多数派形成ができない場合
互いに意見の相違などがあった場合株主が分散し、多数派形成ができない場合もあります。
このような場合は、現在の経営や人事について意思表示はできますが大きな影響力を与えることはできません。
このように多数派株主がいる場合、社長の権限は弱くなり、多数派株主がいない場合社長の権限は非常に強くなります。
【経営権の承継】
一般的には、オーナー社長が株式の過半数以上を所有している場合が多く、このような場合経営権も当然オーナー社長がもつことになります。
経営権の承継には大きく分けて下記の4つがあります。
・株式の取得
・事業の取得
・同意と認知の取得
・代表権の取得
これらは、一般的にオーナー社長から後継者に承継されていく場合が多く、雇われ社長は会社に対する経営権は保有していないことになるでしょう。
この場合会社における最終的な決断は、すべてオーナー社長が行うことになります。
【まとめ】
雇われ社長の権限は、保有している株式数や代表権等によりますが一般的にはオーナー社長から後継者に引き継がれていくものです。
しかし、近年雇われ社長のリスクや法的な賠償責任も皆無ではありませんのでそれらを十分理解してリスク回避を行うことが大切です。