企業側の過失による賠償責任において損害賠償金の請求がなされることがあります。
今回はその中でも交通事故で損害賠償が発生する際にポイントとなる注意点についてまとめました。
【損害賠償制度の特徴は基本的に4つある】
4つの特徴について以下紹介したいと思います。
1.損害賠償は適切な因果関係の範囲内で行う
例えば、交通事故時に被害者の癌が悪化していた場合には事故の加害者側からすれば事故の因果関係として予見できるものでないため損害範囲内に含まないのが一般的でしょう。
このケースのように損害賠償を考える際、予見可能な損害また通常生じうる損害に絞って補填をする一定の基準というものが存在しています。
これは交通事故時に「起こってしまった原因」を突き詰めるとその因果関係が無限に広がってしまうことを防ぐ意味合いもあります。
2.加害者以外に損害賠償が請求されることがある
そもそも損害賠償の目的は、被害者の損害を補うことが最優先事項であり、加害者に対して懲罰を行うために設けられているわけではありません。そのため場合によって直接の加害者でなくても損害賠償を負うことがあります。
3.損益相殺・過失相殺について
事故の被害者が損害だけでなく、保険金などで過剰な利益も享受しているケースでは賠償金などによる損害賠償が二重の利益になってしまうこともあります。このような場合損害額から利益分の額は除外されます。このことを「損益相殺」と言います。
また、被害者側にも損害の発生・拡大について何らかの責任が認められる場合、過失の程度によって損害額が調整されることがあります。このことを「過失相殺」と言います。
上記で挙げた2つのケースは損害賠償の制度がもともと「生じた損害の賠償を当事者間で公平に負担し、加害者にむやみに懲罰を与えたり、被害者を無限に救済するものでないこと」に由来していることからも分かります。
あくまで公平の観点から賠償の負担を分担する制度であるということができるでしょう。
4.精神的損害の賠償もできる
損害賠償制度で補填できる内容は財産などの損害だけでなく、精神的苦痛を伴った場合にも損害賠償の請求ができることとなっています。この場合の損害賠償は慰謝料という形で行われます。
【まとめ】
企業の運営・経営をしていくうえで損害賠償は高いリスクを伴います。対物の損害賠償はまだよいとしても対人の損害賠償に関してはなおさらです。損害賠償について正しく理解して万が一の事態にも冷静に対応できるよう準備しておく必要があるでしょう。