退職金の規定につて経営者が考えるべきこととは

経営者のリスク

前回は、「退職金の規定」の必要性を「退職金の未払い」から見た見解から紹介しましたが、経営者が考えるべきこととして「退職金の規定」について細かい部分について紹介していきましょう。

■「退職金の規定」の様々な想定を考える

従業員は、会社を退職するときには、当然の事として退職金を要求することになります。しかし、「退職金の規定」は法律で定められているものではないので経営者としては、退職金の支払いに関する慣例を作る前に、起業する時の準備の一つとして用意しておく必要があるのではないでしょうか。これは、「退職金の支払い」についてのトラブルがあまりにも多くて民事裁判にゆだねる事も考えなければならないからなのです。

◎退職金の減額や不支給について
「退職金の規定」に明確な規定や、世間一般で正当な理由と認められることに対しては、「修行規則」に組み込むことが、退職金の減額や不支給について有効的な効果となってくるでしょう。

例えば、会社に対して「承諾なく退職した者に対して」退職金が未払いの時についての行為は、正当性を欠く恐れがあります。会社としての見解と退職する従業員の間にたった公平性が民事裁判における争点になることがあります。

◎「退職金の規定」内容を具体的に提示する事で経営者側と従業員側の溝をなくす。
・退職金の控除 ・退職金の相殺 ・退職金の時効 ・退職金の不利益変更
・早期退職優遇制度 ・懲戒解雇と退職金 ・労働者の一時的退職
・退職金の差し押さえ ・退職金の支払い方法 ・退職金と税金
・退職金の所得申告 ・就業規則の変更と退職金 ・退職金の保全措置等

■退職金支給の規定例

◎退職金の適用範囲
正社員に対する適用とし、それ以外の雇用形態(パート、アルバイト、その他の特殊な雇用)に対しては適用しないものとする。

◎退職金の受給要件
勤続年数が〇年以上の従業員に対して、会社の規定により、退職または解雇に対しての退職金の支給をおこなうものとする。

◎退職金の減額および不支給の規定例
以下の規定に該当する場合は減額または支給しないものとする。

1- 会社の規定の懲戒解雇の相当する
2- 諭旨解雇(解雇の最も重い処分)に相当する
3- 社会に反する刑事罰に処されたときや、会社に対する不正行為があったとき
4- 勤務態度が社会通念の範囲をこえ会社に影響及ぼすとき。

この規定された例は、あくまでも通常考えられるものであって、会社の形態や従業員との関係において独自の規定があってもおかしくないと思われます。

■退職金は社会情勢や会社の実情によるものとする

会社の経営は、社会情勢や会社の運営状況によって、変化することであって廃止または支給額を減額する旨を規定しておくことも重要です。しかしながら、従業員側にも今後の生活に大きく影響することなので、従業員の代表と話し合いによる協議を設けることで現在の従業員に対して信頼や安心感を与えることでしょう。

退職金の規定は、法律で定められたものではないのですが、経営者側に有利な規定になっては、会社の運営や従業員のモチベーションに多大な影響を与えかねませんので具体例を参考にしながら熟慮すべき課題となるでしょう。