企業は創業後、成長期、成熟期、衰退期という流れをたどることになります。成熟期までの経営戦略は、内部と外部の両面から成長戦略を実施して企業規模を拡大させていくことが必要です。
しかし多くの中小企業は、内部的な成長戦略に必要な経営資源を蓄積していませんので、資源の育成と発展までに多くの時間を費やすことになるでしょう。
さらに少子高齢化社会と人口減少社会により、中小企業も将来の存続のために新しい戦略を検討していくことが必要です。
事業承継により会社は成長する?
企業外部の経営資源を内部に取り込むことで成長していく手法には事業承継が挙げられます。
また、成長期、成熟期から衰退期へとさしかかった企業は、経営者が高齢化するといった問題で新たな成長戦略の必要性が増していきます。
その場合にも経営者が安心してリタイアできるように、事業承継を検討する方法を用いることが考えられるでしょう。
経営者の高齢化は進行している
2016年の全国社長の平均年齢は、東京商工リサーチの調査によると61.19歳に達しています。
団塊世代の経営者交代は進まない状況であることから高齢化が顕著になっています。しかし経営者の年齢が高くなると業績が悪化する傾向も強まるなど、後継者難で事業承継が難しい場合には廃業や解散という事態に追い込まれているようです。
事業を後継者に引き継ぎたくても4割程度の経営者が後継者確保のできていない状況に置かれているようです。
事業承継は簡単ではない?
自社株式や事業用資産を後継者に承継させることが必要ですが、中小企業は経営者自身が自社株式の大半を保有していることがほとんどですので、事業承継問題と経営者の相続問題は切り離して考えることはできないでしょう。
そうなると相続税や後継者以外の相続人に対して配慮も必要になり、スムーズな事業承継に至らない可能性もあります。
スムーズに進まない事業承継問題解決のために
後継者がいないことや、後継者は決まっていても事業承継について具体的な考えができていないという場合など、事業承継の問題も多くあるようです。
経営そのものの承継は後継者がいなければできませんが、その場合でも会社の売却や合併、事業譲渡などを検討することで有効になります。
合併は会社存続の手段の1つ
合併にも種類があり、複数の会社が1つになり新会社を設立する新設合併、そして一方の会社がもう一方の会社を飲み込む形となる吸収合併があります。
多く検討されるのは吸収合併で、包括承継ですので消滅した会社の権利や義務もそのまま引き継ぐことになります。相続と似た性質があるため、後継者に悩んでいる場合には合併という手段も検討することも方法の1つだと言えるでしょう。