会社の経営を、次世代の後継者に渡して、将来的に長く事業を続けてくれたらと思うのはどの経営者にも共通する願いだと思います。
しかし事業承継を行う上で、資金面など様々な問題が妨げとなり、中々進まないというケースもあるでしょう。
このような場合には、補助金や支援制度を上手く活用する事で、事業承継を円滑に進める事ができる可能性もあります。
まずは会社の現状を把握しておく事
事業承継における補助金や支援制度を活用する前に、現在の経営状況をまずは把握しておきましょう。
さらに後継者に引継いだ後も事業を維持・成長させるために、商品やサービスが他社と競争できるものになっているのか、現在の仕組みが利益を確保できる体制になっているのかの確認も必要です。
財務状況の改善、経営体質強化、そして経営資源を効果的に活用できる体制を作り、自社ブランドや知的財産権、ノウハウや技術など、目に見えない価値を高めて行く必要があるでしょう。
中小企業の事業承継に対する支援制度
事業承継の体制が整備されたら、次は中小企業が事業承継を円滑に進めることができるためにどのような支援制度があるかを確認していきましょう。
●経営承継円滑化法
・事業承継税制
現経営者から後継者に対して、自社株式を相続・贈与する際、後継者が事業を継続する事などを条件に、相続税や贈与税が猶予または免除される制度です。
後継者は親族内だけでなく親族外でも適用されますが、要件として経営承継円滑化法に基づいて都道府県知事の認定を受ける事や、相続税の申告期限以後5年間平均8割の従業員数の雇用を継続する事などが設けられています。
・遺留分に関する民法の特例
現経営者から後継者に贈与などがされた自社株式に対して、現経営者の推定相続人全員(後継者を含める)の合意により一定要件を満たしていれば、遺留分の算定基礎となる相続財産から除外するといった取り決めを可能とする制度です。
・経営承継円滑化法による金融支援
経営承継円滑化法に基づいて都道府県知事の認定を得る事により、事業承継時に公的金融支援を受ける事ができます。なお、公的金融支援には日本政策金融公庫等と信用保証協会のものがあります。
●事業承継補助金
事業承継のタイミングに経営革新や事業転換を行う場合に、設備投資や販路拡大などで必要な経費をサポートする制度です。
事業承継において設備投資などが必要な場合、問題になるのはその資金をどうするかですが、その様な場合に利用したい制度と言えるでしょう。
補助の上限は、経営革新が200万円、事業転換は500万円で、補助率の上限は経費の3分の2です。
●経営者保証に関するガイドライン
また、経営者の個人保証が事業承継の妨げになるケースも多々あり、それが原因で後継者が事業の引き継ぎを望まない可能性もあります。
そこで国では、「経営者保証に関するガイドライン」に基づいた一定要件を満たす事により、事業承継時に個人保証の解除や保証金額の見直しなどを可能性としています。
個人保証を後継者に当然に引継がせるのではなく、保証の必要性や適切な金額を検討する事になっていますので、最寄りの商工会などに相談してみると良いでしょう。
事業承継を円滑に進めるためにも
この様に事業承継の際に色々な事が妨げとなって円滑な引継ぎが出来ないなら、利用できる制度を上手く活用していくと良いでしょう。そのためにはまずは会社の現状を把握して体制を整備する事が必要ですが、専門家等に相談しながら進めて行く事が望ましいでしょう。