M&A(エムアンドエー)は「Mergers(=合併)」&「 Acquisitions(=買収)」を略したもので、主には企業の合併買収を意味します。2社以上の会社が合わさって1つの会社になる合併、そして1つの会社が他の会社を購入する買収のことですが、さらに提携を含めた意味の場合もあります。
M&Aの特徴
企業間で適切なM&Aが実施された場合には、譲渡企業にも譲受け企業にも大きなメリットがあります。
譲渡企業側のメリット
・事業承継問題の解決
中小企業に多い問題が後継者の不在ですが、これは中小企業の65%に起きている問題です。せっかく起業して順調に経営をしていても後継者が見つからないことでやむなく廃業し、清算すればそれまでの技術やノウハウ、商圏などが全て水の泡となって消えます。また、従業員のその後の雇用問題、取引先に与える影響も深刻な問題となります。子息がいたとしても事業経営に向いていない場合には、無理に継がたことで結局経営が失敗するといったことにもなりかねません。
・企業の発展の実現
M&Aで上場企業など優良企業のグループに加われば資金調達は円滑に、販路は拡大できるという弱点の補てんとなり、企業体質を強化できます。従業員も前向きな気持ちで働くことができ、成長していけるでしょう。
・創業者利潤の実現
オーナー経営者が将来に不安を感じている場合には、創業者利潤を実現する方法として有効です。株式公開、企業売却、廃業・清算のいずれかを選択することになりますが、会社の売却を選択することによって資産評価で有利な上に分離課税で税率も抑えることができます。
・個人保証の解除が可能に
オーナー経営者が借入金の個人保証や担保提供を行っているケースでは、M&A後に解除することも可能です。単に代表の立場を譲っただけではオーナーシップの継続により解除して逃れることは難しいでしょうが、M&Aによって解除が可能になります。
・事業の一部譲渡も可能
事業を全て譲渡するのではなく事業の一部を譲渡するという方法もあります。優先度の低い非主力事業を譲渡することで経営基盤が弱い事業を強化することができます。他にも競争の激しい事業のみを譲渡して第三者に任せることで、自身は安定収益の見込める事業へ特化することができます。
企業譲受側のメリット
企業を譲り受けるという一番のメリットは時間を低リスクで買えるということです。必要になる顧客や販売拠点、ノウハウ、人材などがそろった状態で一括して購入できるため、すぐに収益が見込めることや一から事業を立ち上げるよりも時間とリスクが少ないところにメリットがあります。既存の事業と買収した事業の相乗効果で収益機会を増加したり、コスト削減を通じての成長が可能になります。
企業の選択肢の1つとして
M&Aは企業の合併・買収のことですが、企業の譲渡側にも譲受側にも大きなメリットがあります。企業が抱えるリスクを低減するためにも方法の1つとして認識しておきましょう。