事業承継は、会社にとってもそこで働くものや取引先にとっても大変大きな意味を持っています。会社の将来を大きく左右する大変重要なことになるからこそ、慎重に時間をかけて行う必要があります。事業承継には、大きく分けて3つの方法がありますので、自社に合った方法を検討してみてください。
【事業承継の内容】
後継者を決め誰に事業を承継するかについては下記のような3つの方法があります。
・親族承継
一般的には長男に事業を承継するケースが多いのですが近年は跡継ぎがいない経営者も多く深刻な後継者不足に悩む企業も多いのです。
・(親族外の)従業員に承継する
企業理念をよく理解してくれており、経営者の思う経営が引き続き行ってもらえるというメリットがあります。また、取引先にも顔なじみですので、事業承継がスムーズに行えるという安心感があります。
・M&Aで承継する
新しい経営者に企業を買収して、承継する方法です。後継者不足に悩む近年この方法が増加しています。しかし、一方で思ったような値段での交渉が難しい、企業理念の維持、継続が困難であるなどのデメリットもあります。
【事業承継の傾向】
中小企業庁のデータによると、20年以上前は85%もあった親族内承継が、近年は35%に減少し、親族外承継は15%から65%に大幅に増加しています。
このような結果になった背景には、下記のような理由があります。
・息子には、自分の好きな道を歩んでほしい
・少子化により事業を承継する優秀な後継者がいない
・経済や社会の変化によって経営が悪化した場合に、経営責任が問われる場合もある
・近年増加している企業の賠償責任について、いつどのように負う事になるかわからない
このような理由から、親族内承継は減少していると思われます。
【事業承継を成功させるためには】
上記のどのような方法にもそれぞれにメリット、デメリットがある事業承継ですが、成功させるためには、焦らずに時間に余裕を持って計画的に進行していく事が重要です。
親族や、従業員の承継を検討している場合は経営者教育、育成に時間がかかります。最低でも5年程度は必要になる事を覚えておきましょう。また株式の移転についてはタイミングによって税金も大きく変わりますので、顧問税理士等に相談をしながら損のないように進めましょう。
M&Aを検討している場合は、社外から経営者を派遣する事になりますので、親族承継や、従業員承継ほど時間は必要なく、短期間で承継できます。しかし、相手がすぐに見つからないケースが多いので、良い相手と、良い条件で交渉する為にはある程度の時間が必要になるでしょう。
事業承継は、経営者が60歳になる前には計画をし、余裕を持って進めていく事が大切です。