会社の倒産という状態に「破産」がありますが、会社の債務が膨らんで資金繰りに行き詰まった状態となり経営困難に陥った場合に清算する手続きのことを言います。事業を停止しないで会社を存続させる場合には、破産ではなく民事再生などを行うことが必要です。
弁護士に依頼した場合の破産の流れ
自分で破産という手続きを取ることも可能ですが、ここでは弁護士に依頼した場合の手続きの流れを説明します。弁護士に依頼すると費用がかかりますが、時間や手続きなどがスムーズに進むというメリットがあります。
債権者とやりとりや書類作成の手間がなくなる
弁護士に破産手続きを委任した場合、その後弁護士から債権者に「受任通知」が送られますので債権者からの支払請求や催促など会社に連絡が来ることはなくなります。債権者に弁護士から受任通知が届くと、弁護士が窓口となるからです。さらに破産の申し立て書やそれに添付する書類を作成しなくてはいけませんが、これも弁護士に依頼した場合には代理で作成してもらえるでしょう。
従業員の解雇について
破産すれば会社がなくなりますので、必要な残務整理や従業員の解雇などが必要となります。実務的には会社の破産申立て以前に従業員全員を解雇しておくことになるでしょうが、従業員の給料や退職金については財団債権または優先的破産債権として扱われますので他の債権より優先的な扱いになります。
裁判所に破産を申し立てると
裁判所に破産の申し立てを行うと破産手続きが開始され、会社と関係のない第三者の弁護士が破産管財人として選任されます。経営者は財産の処分や管理を行うことができなくなりますし、債権者も財産の差し押さえや強制執行ができなくなります。その後、経営者、依頼した弁護士、破産管財人の三者で打合せを行いますが、そこで会社の資産や負債の状況について説明していきます。破産管財人は会社の財産を金銭に換金して順次処分していくことになります。
債権者集会の開催
破産手続き開始決定日から数か月後に債権者集会が裁判所で開催されます。ここで破産管財人から会社が破産に至るまでの経緯や資産状況、債権者から届出された債権があるのかなどが報告されます。
債権者へ配当の支払い
会社の借金はこれでなくなりますが、破産管財人は会社の財産を金銭に変えて税金や未払い賃金などの支払いを行い、資産が残れば債権者に配当が行われます。ここまでが破産手続きのおおまかな流れで、会社の債務についての支払義務はなくなります。
破産手続きにかかる期間
東京地方裁判所の場合では、破産申立から破産手続開始決定までが1週間以内、破産開始決定から第1回目の債権者集会までが3か月、債権者集会から配当までが1か月半~2か月くらいになっています。
破産がベストとは限らない
もしも破産を検討するのであれば弁護士に依頼したほうがスムーズですが、破産という方法を取らなくても良い場合もありますので専門家に今後どのような倒産手続きを行えば良いかを相談してみると良いでしょう。