役員退職慰労金とは、取締役や監査役などが退職するときに支給するお金です。
退職金の代わりに支払う金銭ともいえ、一般的な社員が退職するときの退職金よりは、長年の功績に対する褒賞の意味が強いことが特徴といえます。
そこで、役員退職慰労金について、特徴や退職金の違い、目安となる金額の相場を簡単に紹介していきます。
役員退職慰労金とは
「役員退職慰労金」とは、取締役または監査役が任期満了もしくは辞任などの理由で退任したときに支払われる金銭です。
そのため役員退職慰労金が退職所得として扱われるには、役員に退職した事実が必要といえます。
取締役や監査役などの役員で働いていた方が退任したときに支給される慰労金が役員退職慰労金であり、一般的な退職金とは扱いが大きく異なります。
まず一般的な退職金は、退職給付制度に基づいて支給されるお金で、勤続年数や功績などに応じた勤労の対価として支払われます。
一方の役員退職慰労金では、退職金規定の作成は特に必要なく、定款に支給や支払時期に関する記載を行うことや、株主総会での決議が必要です。
実務上は、定款などに規定はなくても、株主総会の決議で支給されることが多いといえます。
役員退職慰労金の特徴
役員退職慰労金の「特徴」はとして、支給する際には株主総会の決議が必要とされています。
金額の計算は、功績倍率法などが用いられ、貴下の計算式で算出されます。
役員退職慰労金=役員最終報酬⽉額×役員勤続年数×功績倍率
一定要件を満たす役員退職金は損金算入が認められており、法人税の節税につながります。
また、慰労金を受け取る役員も、退職所得に該当するため所得税額を抑えることができます。
役員退職慰労引当金の相場は一般的に1,000万円から4,000万円前後とされていますが、会社規模・在任年数などによって変わることが多いといえます。
ただし成果に連動していないことや、支給額の不透明さなどを理由に廃止する企業が増えつつあるようです。
役員退職慰労金と退職金の違い
役員退職慰労金と一般的に支払われる退職金との違いは、退職金規程に従って支給されるかです。
先にも述べたとおり、一般的な退職金は企業が作成した就業規則に基づいた支給となるのに対し、役員退職慰労金は退職金規定を作成する必要はありません。
従業員にのみ支払われる金員が退職金であり、役員にのみ支払われる金員は「役員退職慰労金」として扱われます。