会社を経営するに至り、危機が訪れた時に社内の結束を固め、新たな技術の開発や販路開拓に励み経営を強化できた経営者も少なくありません。このようにピンチをチャンスに変えることで危機を乗り越えることができる経験、経営者を成長させることもあります。
しかし経営の危機は、自社に落ち度がなくても不況や天災、風評被害といった別の部分で訪れることもあるでしょう。
そのような状況をどのように回避し舵を取っていくかで、その後の経営を大きく左右することになります。
ピンチはチャンス?
窮地に陥る当事者にとって、いくらピンチはチャンスだと言われてもやはりピンチです。しかし人は危機が訪れると必死に抵抗しますので、奈落の底に引きずり込まれないように様々な知恵を絞って何としてでも生き残ろうとするものです。
それまでにはない力が発揮されることで、結果として色々な課題が一気に解決できる可能性もあります。
経営者の気力が大きく左右する?
そのように考えると、あくまでも当事者の気力次第だと言えるでしょう。ピンチに陥った時には課題を解決するしかないので、途中で諦めることや、さらなる失敗はそこで終わりだということを肝に銘じることが必要です。
ピンチに陥った経営者は、まず今がピンチであることを自覚すること、そしてあれこれ残そうと思わず1つに限定して他は捨てる勇気も必要です。さらに関係者、特に家族の協力は必要になります。
ピンチの自覚ができない経営者
今がピンチだという自覚は簡単なようで難しいようです。何となく現状が良くないということはわかっていても、それがピンチだとは思っていないケースもあります。
日々生活は何となく送れていたり、商売も何となく続けられていたりという状況がそうさせていると考えられます。
本当のピンチのタイミングを見失わないこと
経営におけるピンチとは、売上高の減少や借入を増やさなくてはいけなくなった時点で既に生じています。しかし本当に経営者がピンチと自覚する時には、既に借りている借入の返済ができなくなった時点、追加の融資が受けられなくなった時点です。
さらに長期間ピンチの状態にあるため自覚が薄くなっていることもあります。ピンチになることが自覚できていないと、取捨選択や家族の協力も得られないという状況で、何とか自力で立て直すことだけを考えてしまいます。
しかも商売を長く続けていることで、名声は失いたくない、稼いで建てた家は残したいといったことが頭をよぎり、捨てなくてはいけないものを捨てることができないままチャンスを失うことになるでしょう。
本当に残すべきものは何かを考えること
ピンチが訪れた時の戦い方は、まず商売だけを残すことです。売却できるものは売却し、換金して運転資金を得ることが必要になります。借入金残高を減らすこと、商売に没頭すること、家族に助けを求めることを前提に行うことが必要です。
商売に没頭する前には、ピンチに陥った原因の分析と見切りの期限を設けることを行いましょう。
期限を設けるのは事業転換や廃業、精算といった法的措置が必要になった時にも資金が必要なため、全てを使い切ってしまわないためです。
ピンチはチャンスととらえることは精神論かもしれません。しかしそこで踏ん張ることができるかは経営者次第という所もあります。まずは訪れた状況がピンチであることを自覚し、回避するために何ができるかを考えて行くことが必要です。