せっかく育てた会社が休業や廃業を選択しなくてはいけない事態に陥る要因として、経営を後継者に引継ぐことができないという状況が考えられます。そのようなことにならないためにも、事業承継について早くから計画しておくことが重要になります。
この事業承継計画を立てているかどうかが会社の存続、もしくは衰退の行く末を大きく左右することになるでしょう。
事業承継計画とは?
会社が経営して行く上で、中長期の経営計画に事業承継の時期や具体的な対策を盛り込んでいくことを事業承継計画といいます。
円滑な事業承継を実現するために、中長期的な視点に立って事業承継計画を立案し実行していくことが必要です。
事業承継計画を作成するメリット
事前に計画を立てることで、事業承継に必要なことの整理や確認を行うことができます。現在会社が抱えている問題や将来の見通しなど、現経営者と将来経営者となる後継者が同時に認識していくことができるので、先の経営体制を構築していくことができるでしょう。
どのような現状を把握する?
正確に会社の現状を把握するためには、会社の資産や負債の額とその内容、キャッシュフローなどの財務状況などだけでなく、従業員数や年齢構成、現在保有できている技術やノウハウといった経営資源の現状も同時に確認しましょう。さらに把握しておくべきこととして、次のような項目が挙げられます。
・経営上のリスク
そして資金繰りにおいて不安材料となる財務上のリスクや、人員が減少した場合の技術力低下のリスク、事業環境が変化することなどの外部リスクといった経営上のリスクについても確認しておきましょう。
・現経営者個人の資産
また、事業承継に重要になる現経営者が保有する自社株式数、その保有割合、現経営者個人の事業用資産やその他資産、負債、個人保証の有無といった現状も把握しておくことが必要です。
・後継者の現状
後継者の年齢や経営に対する能力や意欲、柔軟性、統率力などを基準に、親族だけでなく社内や外部に候補がいるか検討します。さらに後継者と相続人の間で紛争が起きないように、問題となる部分は何かを把握しておく必要もあるでしょう。
経営上の課題と対応策を検討する
今後経営資源を強化するために人材確保の必要性や新規投資のための資金調達の方法なども検討が必要です。さらに市場での競争力を高めるために、新たな販路開拓や商品開発なども同時に検討しましょう。
現経営者個人の資産や負債をどのように整理するのか、会社の保有する資産と明確に区分すること、個人保証の見直しについても検討が必要です。
後継者は誰にするのか、どのように教育していくのか、さらに財産分与の方法、相続税の納税方法などについても考えておくべきだと言えます。
事業承継の時期についても検討を
誰にいつどのタイミングで事業承継を行うのか基本方針を検討しておきましょう。現経営者と後継者の年齢、事業の中長期的な計画内容などで、事業承継のタイミングなども変わります。
承継方法も経営権を集中させることや、納税金などの確保といった様々な要素を考慮して決めることが必要です。